MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「早稲田、TOEIC900点でも内定なし 高学歴就活難民のリアル」 という記事について

以下の記事を読みました。 https://blogos.com/article/345829/ 一言でいえば、高学歴の学生は自分が特別だと勘違いして、大して準備もせず、就職が決まらないと。そして、結びは「高学歴難民にならないようにするには、早く「自分は人並み」と気づくことが…

DCF 期間毎にWACCを変える

この前、セグメント別WACCを説明しましたが、期間毎にWACCを変えるというのもあります。たとえば、ベンチャーで立ち上がりの5年だけ高いWACCを使ったり、インフラ案件で建設期間だけ高いWACCを使い、安定期に入ったら引くWACCに切り替えるといった具合。 WAC…

ライザップ 事業別WACC ファイナンス

事業部毎にWACCを変えるというのがあります。セグメント毎に類似会社を選びwaccを設定する、この前の続きでライザップでいえば、健康事業と再生事業でWACCを分ける。ライザップの投資は赤字会社を安くかい、黒字化して儲けるという超ハイリスクな事業をやっ…

コングロマリットディスカウント 商社

総合商社は言わずもがなコングロマリットであり、MBAの教科書的にはコングロマリットディスカウント、つまり、分割してバラバラにして合計した方がEVが大きくなるというのが理論である。一般に、コングロマリットディスカウントは、一言でいえば、事業間で生…

なぜ経営者はM&Aが好きなのか? 失敗する理由

なぜ経営者はM&Aが好きなのか? 私の答えは3つ。 1.PLが増える 今の会計ルール上、買収し20%以上の出資をすると被買収先のPLが連結決算上くっついてきます。従い、買えば買うだけ見た目上は増収増益になるので、成長を演出できます。(もちろん、買収資…

ライザップ 会計知識の必要性

最近、マスコミをにぎわしているライザップ。業績不振企業を純資産以下で買い、負の暖簾による一括利益計上でPLを作っていたとのこと。業績を右肩上がりに見せて、成長を演出、今年6月に350億円を高値で増資しているあたり、んー、品がないといったら言い…

質問、意見があればお願いします。

本ブログ、ファイナンス、M&A、総合商社、MBAに関して質問、意見があればお願いします。励みになりますので。ただし、片手間でやっているのですぐのレスは難しいのと、回答はあくまで参考意見になりますが。

M&A取引 入札と相対のメリット デメリット

M&A

会社を売るときに競わして値段をつりあげるというのが、会社を高く売る、コツなわけで、一方、買い手はいかに関係を築いて、相対に持ち込むというのが腕の見せ所になります。 ということで、売るなら入札というのが基本ですが、相対の良さもあります。以下の…

M&A 入札(オークション)の選定基準 その2

前回、入札では、価格と確実性が大事だと説明したが、それ以外の要素を説明する。 まず、買い手の素行。LOIレベルではいい価格を出しておいて、優先交渉権をとったら、手のひら返しして、買い叩いてくる会社もある。過去のトラックレコード・評判等で信頼で…

M&A 入札(オークション)の選定基準 その1

入札でMAをする際、価格が一番高いところが競り落とすのが基本であるが、それ以外にも選定基準がある。価格の次に大事なのは確実性だ。つまり、Prefered Bidderに選んだらきちんと買ってくれるか。ポイントはいかの通り。 1、ファンディング 買い手にお金が…

Seller's DD セラーズデューデリジェンス

M&A

通常、DDは書いてがやるものであるが、実はSellerが自ら株式を保有し経営してきた会社のDDを売却前に行うことがある。私が思うメリットは以下3つ。 1、Deal Killerの発見 売り出す前に自分が気がついてないDeal Killerを発見することができる。一旦オーク…

M&A 保険デューデリジェンス

M&A

これもマイナーなDDである保険DD。通常、保険会社に事業のリスクを理解してもらったうえで、あるべき保険内容(自動車製造ならPL保険等)を調べてもらい、かけもれがあればクロージング時に手配する。当然保険料は販管費増となるので、モデルの費用を見直し…

M&A 環境デューデリジェンス 注意点

M&A

自社で工場や倉庫を買収するときは環境DDを行う。法務、会計、ビジネスに比べるとマイナーなDDですが、3点注意点あり。 時間 通常環境DDは過去の行政指導、社内規程、実踏等で行う1次チェックを行い、何もでなければ、これで作業終了。もし怪しかったり何…

GEトップ交代

GEのCEOジョン・フラナリーがわずか1年で更迭、しかも後任ははえぬきじゃない、ダナハー元CEOのローレンス・カルプだと。 あのはえぬき、且つ長期政権(イメルト氏なんて在任期間16年)で有名なGEとしては画期ですね。しかし、アメリカのガンバナンスはやは…

アメリカ、欧州のMBAの違い

MBA

私は欧州のMBAを出て、アメリカの駐在経験があるのですが、(アメリカのMBAには出たことがないけれど)2つのMBAを考察してみました。 一番の違いは、アメリカでアメリカビジネスを学ぶのか、欧州でグローバルビジネスに学ぶのかに尽きるのかなと思います。 …

WACC の計算 マーケットリスクプレミアムの取り方(番外編)

前回の続きで、Rf+ERP×βが資本コストになります。 日本の場合は、10年国債が0.1%とかですが、ERPは4,5%あります。過去30年のデータを使った数値になります。株式市場はアップダウンがありますが、長期でみれば投資家はこれだけのリターンを享受してきたと…

WACCの計算 マーケットリスクプレミアムの取りかた

資本コストはRF+ERP×βから計算される。前回RFの取りかたについて、講義したが、 今日はERPについて。 まず、おさらいですが、資本コストは、RF(つまり国債)に株式投資に対するプレミアムに加算して出します(ベータはまた次回)。つまり、株式はリスクのな…

WACCの計算 リースフリーレートの取りかた(番外編)

前回お話したとおり、リスクフリーレートは、評価日時点の国債を使います。資本コストの計算式は、RF + ERP β.という計算式から、RFが上がれば資本コストが上がり、資本コスト(割引率)が上がるということは、企業価値が下がるということになります。 (た…

WACCの計算 リスクフリーレートの取りかた

資本コストの計算式は、RF + ERP β.です。 では、リスクフリーレート(RF)は何を使うか。一般的には10年国債を使うのが一般的。なぜ10年かというと、基本的な考えは事業Durationにあわせるということになるが、ある程度長期、データのAvailabilityから大体1…

WACC マルチプル 類似企業の選定 (所在国が違う場合)

類似企業の選定方法は以前説明したとおり(類似企業の選定基準 - MBA x 総合商社道場)であるが、今日、まったく同じ業態で所在国の違う会社を使っていいか質問されたので、以下回答します。 結論としては、Noだと思います。たとえば、日本のコンビニの評価…

ファイナンス マルチプルとDCF どちらを使うべきか

以前、話をした通り、両方でValuationするのが基本。マルチプルとDCFの違いを比較し、間違いの気づきの機会にする。 変数がEBITDA、倍率(そのデータの元になる類似企業)のみのマルチプルに対して、DCFは事業計画はもちろんのこと、永久成長率や割引率だっ…

逆張り

逆張りができるのは、本当の投資のプロであり、本来ロングタームで物事を考えられる商社は逆張りを本来やらないといけない。しかし、実際は難しい。理由2つ。 1、社内説明が難しい 市況がボロボロのときに、「今が買いです」と言っても、もっと下がるので…

大塚家具 株価

今話題の大塚家具の株価の分析をします。 時価総額は83億円(2018/8/7時点)。 2017/12期の決算は、以下の通り。 現金 18億円 総借入 0億円 自己資本 176億円 総資産 291億円 売上高 410億円 (cf 2015年度 580億円) 粗利益 209億円 (同 308億円) 販管費 2…

公認会計士

経営者目線で言うとおっしゃるとおりで、ルールに基づきハンコ押すだけで、何の付加価値もないということになるのは理解できるが、会計士は株主のためにwatch dogするのが仕事でしょと私は思う。会社の不正を見抜く目は、AIじゃ代替できないと思うし。 柳井…

マルチプルとDCF

Valuationをするときに大事なのは、数字の意味を考えるということ。 たとえば、本を見ながらエクセルをつくり、DCFで100億円と算出する。一方、EBITDAマルチプルでも、これも株価をひっぱってきて、60億円と評価する。そして、今回の買い物は、80億円だから…

Deadlock solution /status quo

折半出資のJVでは、Deadlock solutionが問題となる。Majorityがはっきりしている会社であれば、Majorityの会社がMinorityの会社の株を買い上げて、Deadlockを解消すればいいだが、折半出資の場合はそうもいかない。そこで、Status quoつまり、徹底的に話をし…

書評:国家情報戦略

私の好きな佐藤優のインテリジェンスに関する本。元韓国海軍少佐の高永喆の対談。 面白かったのは、 ・戦時中朴大統領は関東軍に属しており、当時の上司だった瀬島氏に助言を得ており、韓国の発展に寄与したとのこと。「韓国人はよ恨の民族といわれますが、…

入札案件の流れ その4

今日は、5.Prefered bidder 、最終交渉、6.SPA締結、7.クロージング を説明します。2次Bidで最終価格とSPAのマークアップの札を入れると、ようやく1社に絞り込まれ、2週間ほどの独占交渉権を与えられ、SPA等最終交渉を行います。ここで、合意できればS…

入札案件の流れ その3

今日は、3.DD、4.2次BIDについて。 1次Bidを通過した数社にはData roomにて資料が開示されDDに入ります。その後マネジメントインタビューやサイトビジットの機会も通常得られます。買う側はいいですが、売り側は、数社のDDの相手をしなくてはいけないの…

入札案件の流れ その2

今回は、NDA、ティザーの入手、1次BIDまでを簡単に説明します。 通常、入札案件では、FAや売り手から複数のBuyer候補に声をかけます。 PEが株主の場合なんかは、50社ぐらいティザーをばら撒くときもあれば、 10社ぐらいにしかまかないときもあります。(情報…