法務
M&Aでは特定の買い手に独占交渉権を与えることがある。 これは買い手にとってのメリットとなる。M&Aの場合、買い手は膨大な時間とコストをかけてDDを行うわけで、散々調査し、社内承認も取った挙句他社に持っていかれる事態はできればさけたいわけで、そのた…
M&A取引では、当事者のどちらか一方が、交渉からドロップする際に、補償として一定金額を払うことがあります。これをbreak up feeと言います。LOIとSPAに分けて考えます。 まず、LOIについて。LOIは一般的に法的拘束力はなく、LOI締結後DDに入り、交渉。妥結…
以下の記事を見つけましたので、シェアします。アスクルモデル等非常に勉強になります。 コーポレートガバナンス最大の機能:取締役会と役員選解任のあり方と事例について | Signifiant Style これを見てて思うのは、社外取締役を会社が選ぶ構図がやっぱり歪…
以前、以下の記事を書きましたが、いくつか質問を受けたので追記します。 クロージングにおける価格調整方法 その1(Locked Box 方式) M&A - MBA x 総合商社道場 クロージングにおける価格調整方法2(Completion Adjustment 方式) M&A - MBA x 総合商社…
今日、弁護士と話をしていたら、アメリカでは、ImdemnityのCap は7-8%、よくて10%が相場だそうです。また、表明保証保険も昨今ずいぶん、料率が下がったので、かなりMajor になったとのこと。なので、契約をごりごりネゴるなら、保険買ったらと言われまし…
会社を買収する際、たとえば、DDをしてみたら、有能な経営者や技術者等がいて、その会社のオペレーション・企業価値に大きな影響力を与えているというケースがあります。こういう場合、買収後一定期間(通常2-3年)会社にとどまってもらうという条項、キーマ…
私を含め環境DDというと、技術の話で”どうしよう”となりがちですが、簡単にプロマネ視点で何をすればいいかを書きたいと思います。 通常、環境DDではフェーズ1で、データルームの書類確認(許認可関連書類、過去の地質の調査結果等)と現地視察をします。そ…
買収した後に、表明保証違反やコベナンツ違反等が発覚したときは、買い手は売り手に補償を求めることになります。 金額の設定について、いくつかポイントがあります。 上限(Cap): 補償額の上限です。ケースバイケースですが、一般的には取得金額の10-20%…
議決権行使助言会社を新聞等でよく見るようになりました。米ISSや米グラスルイスが大手。 ビジネスモデルは株主総会の議案に対して、株主が賛成か反対の意見をレポートにしてそれを 機関投資家に販売し収益を上げます。 投資家はなぜ買うかというと、分析す…
前提は、過半数で普通決議、2/3で特別決議。自社ともう1社で合弁。 出資比率が 1/3超 パートナーが会社をコントロール・自社は特別決議について拒否権 過半数 自社が会社がコントール。パートナーが特別決議について拒否権 2/3超 自社が完全支配 M&Aの基本に…
折半出資のJVでは、Deadlock solutionが問題となる。Majorityがはっきりしている会社であれば、Majorityの会社がMinorityの会社の株を買い上げて、Deadlockを解消すればいいだが、折半出資の場合はそうもいかない。そこで、Status quoつまり、徹底的に話をし…
米国では、シェアが低い同士の合併であっても、クロージングの前から単一の企業体のように行動し、競争を阻害する行為を行った場合を禁止される。これをガンジャンピングという。日本語でいうフライング。 大きいDealならともかく、世の中の競争に影響がない…
英文契約を見ているとagreement/contractの他にDeedというものがある。 英文契約では約因(Consideration)といわれれる、契約上の対価がないと契約は強制力がない。約因の例としては、たとえば、売主:商品を引き渡す、買主:お金を支払う。 Deepはこの例外…
前回譲渡制限の話をしたが、Tag alongというものがある。これはパートナーが第三者に譲渡するとき、同条件で自分の持ち分も売ってもらう権利。合弁事業をやると、パートナーがいないと成り立たない事業というものがある。(商社とメーカーでモノ作りはパート…
合弁契約書では株式譲渡に関して、様々な制限がかかる。一定期間売れない、Lock upや、譲渡する際に相手方の同意がMustになっている契約もある。こういう場合、パートナーにも逃げられないが、こちらも逃げられない仕組みで、これはこれでExitがしづらい。 …
総合商社が、新規設立、買収に係わらず、広く世界で事業展開しているパートナーと合弁事業をやる場合、海外の競争法、特にEUと中国のFilingが必要となる場合がある。買収の担当者は、常にこのポイントを意識して、弁護士に独禁法の届出の要否を確認する必要…
善管注意義務を東芝のケースで考える。 ご存知、東芝の不正会計であるが、前回の内容から以下がポイントになると思われる。 取締役が直接不正会計を指示したとなれば、直接違法行為となり、アウト。チャレンジいう名の、達成不可能な予算(不可能かどうかが…
まず、善良の意味は専ら会社の利益の為権限を行使することを意味する。当たり前だが、私的な利益のために取締役は働いてはいけない。しかも”専ら”がポイント。 次に管理者としての注意義務は、経営判断の合理性と監督義務の2つ。 経営判断の合理性について…
コーポレートガバナンスというと分かりづらいが、経営の効率性を担保することが目的であり、その定義を一言で言うとダメな経営者をクビにする仕組みということになる。 といことでいくら社外取締役とか指名委員会とかあっても 実態面でその社長をクビにでき…
Condition Precedent(前提条件)に入っているだけでは、その結果を達成する義務は発生しない。例えば、許認可取得が前提条件に入っている場合、Sellerがクロージングしたくなければ、許認可を取得せず、放置してもよい。もし、これを義務化したければ、Cove…
表明保証に「買主が知っていたことについては表明保証を問えない」との文言が入ることがある。これは表明保証違反を買主が請求した時、売主が「DDしたんだから、しってたはずだろ」とごねるのに利用されるので、注意が必要。実際に表明保証違反を問えなかっ…
表明保証では、保証内容が知る限り(actual knowledge)と知り得る限り(constructive knowledge)があるが実はこの差は大きい。なぜなら、知る限りの場合、BuyerはSellerが知っていたことを証明しなくてはならないから。知り得る限りなら、役職に応じて知って…
表明保証はSellerが一定の事実をbuyerに保証するもの。“客観”事実の保証である点が評価に左右される性能を保証する瑕疵担保責任とは異なる。 Sellerとしてのポイントは、知らないこと、確証の持てないこと、自分でコントロールできないは保証しないこと。事…
英文契約は、例示や説明が口説く、長文になっている。これは、US法に”Plain meaning rule“と呼ばれる考え方があり、契約で書かれている文言を裁判所は極めて重視する。何が合理的化ではなく、書かれていることを重視するため、ドラフトミスがあっても関係な…