総合商社が、新規設立、買収に係わらず、広く世界で事業展開しているパートナーと合弁事業をやる場合、海外の競争法、特にEUと中国のFilingが必要となる場合がある。
買収の担当者は、常にこのポイントを意識して、弁護士に独禁法の届出の要否を確認する必要がある、でないと、クロージング直前にこのことが判明し、株式の取得が予定より遅れたりする。
注意点としては、まず合弁会社がどこの国にあるか、どこで事業展開をしているかは関係ない。車や鉄のように、今の世の中は少数のグローバルメーカー市場を寡占してたりすので、仮にトヨタと日産とホンダが合併したら、日本企業同士の合併だからといって、この影響は全世界に及ぶ。よって、現在の競争法は、自国のみならず、自国の外の企業結合が自国にも影響がある場合はフックがかかるようにしてある(いわゆる域外適用)。
この域外適用は趣旨としてはもっともであるが、一方、問題もある。例えば、総合商社の子会社の日本国内食品スーパー同士を合併させるとする。当然、スーパーなので、EUはおろか海外で売上は1円もないのに、
親会社の総合商社は、当然EUや中国等での売上があるため独禁法の届出が必要になってします。因みに買収だけでなく、新規設立も対象となります。
以上のように総合商社の場合全世界に売上があるので、合弁会社のパートナーが、総合商社だったり、グローバルに事業展開しているメーカーだったりすると、代替各国の独禁法にあたってしまいます。
先ほどのスーパーの例みたいに、海外の売上なく全然関係ないのに、すごく手間だけかかり嫌になることも。もちろん案件がダメになることはないが、Filingに3-6カ月時間がかかり、弁護士費用もかかる。
私の知っている事例では、filingするのが嫌で、共同支配にならないよう、Veto rightをあきらめ、合弁契約を締結しないことで運用したケースもある。