M&A 出資に係る為替リスク
質問をいただきましたので、出資に係る為替リスクについて回答します。
まず、投資における為替リスクは、例えば、USD100milの会社を買収する場合、出資時のレートが1ドル120円のレートであれば、120億円になります。円建てBS上の出資金120億円になります。
これを5年後に同じ100milで売却するとき1ドル100円になった場合、100億円の価値しかなく、ドルベースでは同じでも、円ベースでは20億円の赤字になります。
為替リスクヘッジの主たる方策は、為替予約ですが、上記に例で言えば、出資時に5年後、ドル売りのレート(120円)を押さえておけば、為替で損をしませんが、現実のことを言うと、ほとんどのケースで、いつ、いくらでで売るかは決まってないので、為替予約は使えません。
次の方法としては、アメリカ法人で100milのドル建ての借り入れをおし、そこから投資をします。そうしれば、売却代金(配当)はドル建てなので、cash in /cash outの通貨が同じになるので、損をしません。別の説明をすると、円建てで見た借り入れが小さくなる(出資時120億円の借金が、売却時100億円と、円で見た場合20億円小さくなり、出資金の損とオフセットできる)。
一方、この方法は、通常ハードカレンシーのみで使えます。たとえば、ブラジルでレアル建ての借り入れをしようと思うと、流動性が小さい、乃至 金利がWACCより高い等でWorkしません。従い、円で安い金利で借りて、為替リスクを負った方が良いという判断になります。