Terminal Value (TV)設定時の注意点② (CAPEXと減価償却を均等させる)
ご質問(CAPEXと減価償却を均等させるの意味)をいただいたので、新しいエントリーで回答します。
(前提)
TVは最終年度のFree Cash Flow(FCF)÷(WACC▲成長率)であり、FCFの計算式は
FCF=純利益+減価償却-CAPEX-運転資金増になります。この計算式を見るとわかる通り、純利益が同じでもCAPEXやworking capitalによって、FCFが増加することになります。
たとえば、投資先がGrowth Stageにあるとき、売り上げを伸ばすために、大きめのCapex100をうったり、また売り上げも右肩上がりなので、working capitalも増加します。一方、減価償却(D&A)は、このCAPEX前は大きい資産がなく、30と少なめ(たとえば固定資産が150で5年償却)。
(成長期)
PAT 100
Capex -100
D&A +20
Working Capital -30
FCF 10
一方、TVの最終年の場合は以下です。事業計画は、事業が安定期に入るまで作成することになっており、最終年は、成長が止まり、横ばい(乃至インフレ分のみ成長)になっているのが原則になります。
従い、成長投資はもうせず、メンテナンス投資、売り上げも増えないので、運転資金増がない状態になります。具体的には、固定資産250(150+100)を5年償却、5年おきに設備を更新するイメージです。そうすると、5年おきでみれば、CAPEXと償却が同じなるはずです。
(最終年)
PAT 130 (上記CAPEX100が寄与)
Capex -50
D&A +50
Working Capital 0
FCF 130
TVのベースとなるFCFは事業計画が終わった翌年から未来永劫続く前提のものなので、FCFがゆがんでいないか、確認する必要があります。