MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

アメリカ、欧州のMBAの違い

私は欧州のMBAを出て、アメリカの駐在経験があるのですが、(アメリカのMBAには出たことがないけれど)2つのMBAを考察してみました。

一番の違いは、アメリカでアメリカビジネスを学ぶのか、欧州でグローバルビジネスに学ぶのかに尽きるのかなと思います。

アメリカに住んでみて思うのは、アメリカにいると目の前に、GAFA等世界の時価総額の50%を占め、おまけに巨額のエネルギー産業を持つ巨大ビジネスがあるわけで、みんな外になんて目を向けてない(テキサスの人なんてテキサスしか見てなかったりする)。一方、欧州はグローバルにどうビジネスを展開していくかを真面目に向き合っているし、だから学生も70%以上外国人で多様性を持っている。ケースのディスカッションも「私の国では・・・」という展開で、ExchangeでUSから来た学生が「西海岸ではこうだけど、南部ではこうだ」みたいな話をして、そんな細かい話されてもってみんな白い目でみるなんてこともある。

但し、欧州の方がグローバルで一見よさそうに見えるけど、先ほど言ったように、アメリカ企業が席巻しているわけで、アメリカビジネスを学ぶのは実は価値があるのは言うまでもなく、この辺は好みだと思います。だって、イギリス、フランス、スイス、スペイン企業なんて、少なくとも世界のMajor playerは片手で足りるぐらいです。

個人的には、アメリカは旅行がイマイチ(どこに行ってもハンバーガー、ステーキ、Walmart、歴史なし)なので、MBAで欧州に行って本当に良かったと思ってます。最後はプライベート重視で!

WACC の計算 マーケットリスクプレミアムの取り方(番外編)

前回の続きで、Rf+ERP×βが資本コストになります。

日本の場合は、10年国債が0.1%とかですが、ERPは4,5%あります。過去30年のデータを使った数値になります。株式市場はアップダウンがありますが、長期でみれば投資家はこれだけのリターンを享受してきたということが言えます。もちろん、日本の今後の見通しもありますが、企業の経営者は自身のWACCをクリアーすべく日々経営しているわけで、やはり長期で運用するならインデックスを買うのも悪くないなと思ったりします。

WACCの計算 マーケットリスクプレミアムの取りかた

資本コストはRF+ERP×βから計算される。前回RFの取りかたについて、講義したが、

今日はERPについて。

まず、おさらいですが、資本コストは、RF(つまり国債)に株式投資に対するプレミアムに加算して出します(ベータはまた次回)。つまり、株式はリスクのない国債よりリスクが高いので、投資家はより高いリターン(プレミアム)を要求します。ではこれをどう算出するかというと、一般に過去30年のTOPIXとかS&P500やDowとかのデータを取って、実際に投資家がいくらリターンを得たかを計算します。これが日本だと5%とか、アメリカだと6%とかになっている例が多いです。つまり、アメリカ国債10年が2.8%とすると、これに6%が乗り、8.8%が投資家が株式投資に求めるリターンになります。

では、このえERPのデータはどうやって取るかというと、プロの世界ではIbbotsonという会社がこのデータベースを持っており、これを購入します。では、お金が払えないという人は、以前紹介したDamodaranに記載されてます。カントリーリスクプレミアムで調整すれば日本市場のERPも算出可能です。ありがとう、Damodaran

http://www.stern.nyu.edu/~adamodar/pc/datasets/ctrypremJuly18.xlsx

 

 

 

 

WACCの計算 リースフリーレートの取りかた(番外編)

前回お話したとおり、リスクフリーレートは、評価日時点の国債を使います。資本コストの計算式は、RF + ERP β.という計算式から、RFが上がれば資本コストが上がり、資本コスト(割引率)が上がるということは、企業価値が下がるということになります。

(たとえば5年後の100は3%なら86、5%なら78)

ということで、事業計画に変更がなくとも、国債の上限で企業価値も上下することになります。従い、低金利なら売り時、高金利なら買い時という数式が成り立ちます。

 

WACCの計算 リスクフリーレートの取りかた

資本コストの計算式は、RF + ERP β.です。

では、リスクフリーレート(RF)は何を使うか。一般的には10年国債を使うのが一般的。なぜ10年かというと、基本的な考えは事業Durationにあわせるということになるが、ある程度長期、データのAvailabilityから大体10年を使う。アメリカ国債の場合は20年を使ったりします。国債のデータは検索するとすぐ出てきます。いつの時点のデータを使うかと言うと評価日時点(たとえば2018年9月1日時点の日本国債10年もの)を使うのが一般的ですが、異常値が出ないよう過去3ヶ月平均を使ったりします。

前にも書いたとおり、新興国国債はカントリーリスクがもりもりなので、リスクフリーになっていないので、ドル・ユーロ・円以外は、ドルをベースにWACCを作り、Country risk premiumやインフレを調整するのが一般的になります。

 

WACC マルチプル 類似企業の選定 (所在国が違う場合)

類似企業の選定方法は以前説明したとおり(類似企業の選定基準 - MBA x 総合商社道場)であるが、今日、まったく同じ業態で所在国の違う会社を使っていいか質問されたので、以下回答します。

結論としては、Noだと思います。たとえば、日本のコンビニの評価をするとき、中国やインドネシアのコンビニを類似企業としていいか。確かにビジネスは似ているかもしれませんが、国により当然成長率やリスクが異なります。ベータにいたっては、ボラを算出するベースとなるIndexをどうするかという問題も残ります。従い、たとえ業態が似ていても、使ってはいけないというのが答えになるようです。

 

ファイナンス マルチプルとDCF どちらを使うべきか

以前、話をした通り、両方でValuationするのが基本。マルチプルとDCFの違いを比較し、間違いの気づきの機会にする。

変数がEBITDA、倍率(そのデータの元になる類似企業)のみのマルチプルに対して、DCFは事業計画はもちろんのこと、永久成長率や割引率だっていくらでもいじれるDCFは変数が多すぎなので、個人的にはマルチプルの方が分かりやすいと個人的には思っている。大体、DCFで使う5-10年後の事業計画なんて当たらないだろう。一方、マルチプルは、足元のEBITDAと、倍率も低成長なら5倍、高成長なら10倍とおけば、まぁ、外れない。

一方、DCFが向いているのは、Cash flowが見えているインフラ投資や債権はDCF。例えば、インフラ投資で最初の5年は加速度償却で税メリットがあったり、10年後から収入のフォーミュラーが変わったりし、Cash flowが常に一定にはならないときがある。こういう場合は、きちんと年度毎の計画を作って、DCFで評価しないと正確な価値は図れない。