類似企業の選定基準 WACC DCF
Valuationでは、対象会社のベータやマルチプルを類似企業の株価から推定する。では類似企業をどう選ぶか、選定基準が問題となる。
まず、選定基準を考えるに当たって、どの点で類似であるかを考える必要がある。ベータやマルチプルは、突き詰めると、期待収益/ROIC(とその裏返しであるリスク、なぜならリスクとリターンは見合う筈だから)と成長率を推定するものである。よって、期待収益(リスク)と成長率が似ていればいい。
この競争が激しい時代に似ている会社が5社、10社あるわけなく、現実的にこれをみつけるのは難しい。逆にいうと、DCF等を盲目的に信じるのではなく、総合商社の人間としては、いいかげんなものとして、初めから道具として使い倒すのがポイントだ。
では、実務では類似をどう選ぶか。まずは事業内容の類似性を以下の4つで見る。因みに、実際は似ていなくても、GICSコードを使ったと言えば、恣意性を排除したことの一つの説明になる。
・事業内容(商品・サービス)
・Gicsコード(S&Pとモルガンスタンレーが作った産業分類)
・地域
事業内容の類似性に加えて、以下の3点も留意する必要がある。その理由は以下の通り。
・規模(時価総額)
企業規模によって、事業の安定性が異なる。
・収益構造
収益構造が違うということは、そもそも事業内容や成長が異なる可能性がある。
・資本構成(D/Eレシオ)
Debtの多寡で事業の安定性が異なるし、PERを使う場合は、利払後の数字となる為、D/Eが異なる会社を類似としては使えない。