MBA x 総合商社道場

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記事 高値掴みの買収

https://diamond.jp/articles/-/223323?page=2 

記事自体は入山教授の新しい本の紹介で、私も一度読んでみようと思いますが、その中に間違った内容があったので、以下コメントします。因みに、私の座右の書グラント(お勧め書籍 戦略本 - MBA x 総合商社道場)がディスられているのが気になりますが。

 

以前の記事(M&A コントロールプレミアムとは何か? - MBA x 総合商社道場)にも書きましたが、買収プレミアムは30%が相場というだけで、この掛け算で買収価格が決まるわけではありません。つまり、事業計画をつくり、シナジーをそれに織り込み、DCFで算出した金額と株価の間で買収価格は決まるものであり、その価格が統計的に30%に落ち着いています。従って、80%のプレミアムを払ってもその分シナジーがあれば高値掴みでもなんでもなく(もちろん、このシナジーが絵にかいた餅でないことが前提)、一方、先日の大塚家具のように今の株価よりディスカウント(大塚家具 ヤマダ電機 株価分析 - MBA x 総合商社道場)になっているから安いというわけではありません。

(引用)

その理由を、買収プレミアムを例に取って説明しよう。「買収プレミアム」とは、企業買収(M&A)において、買収する側の企業(買収企業)が買収金を払う時に、買収される企業(被買収企業)の市場価値に上乗せする額の割合のことだ。 例えば、2014年にサントリーホールディングスが米アルコール業界大手のビームを、160億ドル(約1.7兆円)で買収した。ビームのその直前の企業価値総額は130億ドル前後だったので、サントリーはビームの株主に約25%のプレミアムを上乗せして、同社株を買い取ったことになる。ちなみに、米国の企業買収プレミアムの平均は30~40%程度なので、(他の事情は一定とすると)25%はそれほど高いわけではない。逆に、もしある企業が60%や80%の買収プレミアムを払っているなら、その企業は「高値づかみ」をしている可能性がある。

(引用終わり)