MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

TagとDrag

前回譲渡制限の話をしたが、Tag alongというものがある。これはパートナーが第三者に譲渡するとき、同条件で自分の持ち分も売ってもらう権利。合弁事業をやると、パートナーがいないと成り立たない事業というものがある。(商社とメーカーでモノ作りはパートナーしかできない等のケース)この場合、基本譲渡制限の話をするが、まとまらない場合は、売ってもいいけど、僕のもいっしょに売ってねということでTag alongをもらう。

これを要求するともれなく、パートナーからDrag alongを要求される。これは、パートナーが第三者に譲渡する際、同条件で自分の株を買い取られる権利。第三者からすれば、よくわからない株主がいるのは嫌がるはずなので、100%の方が売りやすいということで、この権利が要求してくる。Dragは自分で売却価格をコントロールできないので、フロアーをつけたりする。

 

株式の譲渡制限

合弁契約書では株式譲渡に関して、様々な制限がかかる。一定期間売れない、Lock upや、譲渡する際に相手方の同意がMustになっている契約もある。こういう場合、パートナーにも逃げられないが、こちらも逃げられない仕組みで、これはこれでExitがしづらい。

よって、よくあるのはROFO(Right of first offer)やROFR(Right of first refusal )であり、前者は、第三者に譲渡する前に、一定期間パートナーと交渉するもの。交渉がまとまなければ、第三者に自由に売れるというものもあれば、ROFOのパートナーの提示価格の1.2倍以上の価格なら売れるみたいな契約もある。ROFRは、First refusal rightともいわれるが、第三者と交渉がまとまった後、パートナーにマッチアップ権、つまり同じ値段で買える権利が発生する。(当然第三者からすれば、折角DDまでしてSPAまでこぎつけたのに、パートナーにDealを持っていれることになる)

ROFOもROFRも譲渡制限であるが、両方ともパートナーに一定の手続きをすれば、譲渡可能な契約ともいえる。

配当にかかる税金

投資家のリターンは、配当とキャピタルゲインであるが、それぞれに税金がかかる。海外投資であれば、例えば、現地で源泉税、国内で所得税がかかったりするが、Valuationをする際は、あくまで対象会社のAvailabile cashベースであり、投資家が払う税金は考慮しない。

これは、投資家によって税金が違うことから、配当に対する税金は考慮しなことになっている。例えば、日本と投資対象国は租税条約があり税の優遇があるがB国はないとか、投資家Bは去年大赤字で当面税金を払わなくていいTax positionにあるとか。

また、ValuationはCAMPをベースにしており、あくまで調達コスト(投資家の期待リターン)であるということもある。

では、実際に投資判断をする際、税金を気にしなくていいかというとそんなことは当然ない。あるいみ、税金は最大のコストなのだから。

借入水準を見る指標 その3(インタレストカバレッジレシオ)

以前紹介した通り、インタレストカバレッジレシオは、営業利益を支払金利で割ったもの。財務分析は第三者の決算書を評価することがメインであり、情報のAvailabilityに限界があるので、これしかできないとも言えるものの、本来であれば、以下のアプローチで分析したい。

まず、指摘したいのは、営業利益ではなく、フリーキャッシュフロー(FCF)で評価すること。FCFは営業利益から税金を引き、税後営業利益にしたあと、運転資金の増減(-)、Capex(ー)、減価償却(+)を調整したもの。実際の資金繰りは会計データよりCashベースで考えるべき。

次にFCFの安定性を見なくてはならない。借入は何年かにわたって返済するものであり、よって単年のFCFではなく、ある程度複数年で見て、最低限これだけは稼げそうだというFCFで借入水準を判断すべき。

最後に、インタレストカバレッジレシオ金利だけなので、本来元本返済も見なくてはならない。この観点ではプロファイで使うDSCR(Debt Service Coverage Ratio)が良いと思う。FCFをDebt (その年に返済する元本)、Service(金利)の合計で割ったもの。これが1倍なら余裕なし、2倍ならFCFが半分になっても、Debt Serviceが支払える。元本も考え要るためこちらの方が優れていると思う。

しかしながら、Termローンのように期日一括返済ならこれは使えないし、もっというと、上場会社じゃないと借入の中身(更に上場会社でも返済スケジュールまでは分からない)ので、いつも使えるわけじゃないのが欠点。

借入水準を見る指標 その2(総借入対月商比)

まず、総借入対月商比は、短期借入の水準を見るものだと、個人的には考えている。

以前解説した通り、短期借入は運転資金「売掛債権+在庫ー買掛債務」イコールなるはず。従い、単純にこの2つを比べて、短期借り入れがもし多いのであれば、過去の損や固定資産の短期借り入れで購入しているということになる。

総借入対月商比も同じで、結局運転資金が売り上げの何か月分かを掴んだうえで、それと比べるということ。財務分析の教科書には3か月が目安と書いているが、それは運転資金は特に卸売業の場合大体月商の3か月ぐらいが多いのでそう書いているだけ(もしくは経験則)であり、じゃー、6か月ならだめかと言うと、長いことは長いと思うが、ビジネスのネイチャーから運転資金が6か月なら問題ないといえるし、逆に運転資金がない(=買掛金が多い)はずなのに、短期借り入れが必要以上に多ければ、問題があるといえる。

借入水準を見る指標 その1

財務分析をする際、借入を何の指標で評価するか、ぴったりとした指標がなく、若いころはいつも頭をひねっていた。財務分析の本を読むと大体以下が載っているが、②固定長期適合比率は分かりやすいもの、①総借入対月商比、③インタレストカバレッジレシオは数値を算出するだけでなく、その意味するところを考えないといけないので、次回以降解説したい。

 

①総借入対月商比(総借入が月商の何か月分かを見るもの)

②固定長期適合比率(固定資産÷(自己資本+長期借入)、固定資産の資金調達を

 長期性の資金で賄っているか。

インタレストカバレッジレシオ(営業利益÷金利、営業利益ー金利=税前利益、

 つまり、支払金利に対して、どれぐらい稼ぐ力があるかを見るもの。1倍なら、

 利益はない。

 

トランプ

驚きのトランプ大統領誕生ですね。デーブスペクターがテレビでアメリカ国民は無知、無学と言っていたのが印象的でした。

さて、今後ですが、TPPが不承認となる等、アメリカが保護主義になり貿易が減ることで世界経済が減速すると言われています。円高になり、輸出企業の業績不振による株安が予想されます。中間期で好調だった総合商社も、海外利益が大半なので、円高により、決算(円建て)は中間期の見通しよりは、減益になるでしょう。

因みに、日本からアメリカ軍引き揚げをトランプ大統領が主張していることもあり、日本の防衛関連の商品を扱う企業の株が上がっていたのが個人的にはツボでした。