MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

M&A 入札(オークション)の選定基準 その1

入札でMAをする際、価格が一番高いところが競り落とすのが基本であるが、それ以外にも選定基準がある。価格の次に大事なのは確実性だ。つまり、Prefered Bidderに選んだらきちんと買ってくれるか。ポイントはいかの通り。

1、ファンディング

  買い手にお金があるか。資金調達ができているか。また、PEの場合は、LBOローンが条件になっている場合があり、この場合は入札上マイナスになる。

2、買い手は1社か複数か

  買い手の社内手続きが当然あるわけで、共同買収で複数の買い手がいる場合より、1社の買収のほうが当然実現性は高くなる。更に共同買収の場合は、合弁契約書でもめる可能性ある。

3、本気度

  買い手がどれだけ、その投資にコミットするか。

もちろん、価格が大事だが、たとえば資金調達が怪しいとなれば、2番札を選んだりするわけだ。

 

3、

Seller's DD セラーズデューデリジェンス

通常、DDは書いてがやるものであるが、実はSellerが自ら株式を保有し経営してきた会社のDDを売却前に行うことがある。私が思うメリットは以下3つ。

1、Deal Killerの発見

  売り出す前に自分が気がついてないDeal Killerを発見することができる。一旦オークションを始めて、関係者も売却モードになってから、Dealをやめるとネガティブな影響が大きいので、事前に手が打てるメリットはある。

 

2、添付書類の作成

  表明保証の例外として添付書類を売り手が用意する。(表明保証:添付の例外2件を除き、訴訟はないと記載) 通常、CFOや管理担当に記憶ベースで添付書類を作ってもらうが、これがそれなりにヘビーな仕事でまた精度も気になるところ。 Seller's DD をやれば、弁護士や会計士が作ってくれるので、安心。

 

3、交渉のプランが立てられる

  Seller's DDでIssueをリストアップされれば、相手が突いてくるであろうポイントが事前に分かるので交渉プランが立てやすい。Seller's DDしない場合、自分が気がついてないポイントがあると、あとから価格を下げられたり、不利な契約になったりして、社内で怒られてするので、要注意。

 

もっとも、上記メリットがあるが、結局、商社の子会社なんて内部監査やインターナルコントロール、日々のやり取りで重要ポイントは全部把握している(はず)なので、その中で、費用と手間をかけてSeller's DDをやるかというと通常はやらないし、私も1回しかやったことない。

 

M&A 保険デューデリジェンス

これもマイナーなDDである保険DD。通常、保険会社に事業のリスクを理解してもらったうえで、あるべき保険内容(自動車製造ならPL保険等)を調べてもらい、かけもれがあればクロージング時に手配する。当然保険料は販管費増となるので、モデルの費用を見直し、買収価格の評価に反映する。

M&A 環境デューデリジェンス 注意点

自社で工場や倉庫を買収するときは環境DDを行う。法務、会計、ビジネスに比べるとマイナーなDDですが、3点注意点あり。

 

  1. 時間

通常環境DDは過去の行政指導、社内規程、実踏等で行う1次チェックを行い、何もでなければ、これで作業終了。もし怪しかったり何か出てくると2次チェックを行うが、これはたとえば土壌汚染等なら検査等を行うので、偉い時間がかかったりする。これにより、サインが遅れたりする。

 

2.損失金額

環境についてはも表明保証を行い、違反があれば補償を行うが、もし土壌汚染が見つかって、これを補償するとなると損失金額は下手をしたら数十億円に上ることだってありうる。もちろん、補償金額は買収金額の15%とかでCapがつくがそれでも大きい金額であることは間違いない。

3.Deal Breaker

DDで環境面で何かが見つかると、上記の通りインパクトが大きいのでDeal Breakerになりうる。買収価格も、他のDDも全部Doneの状態で、環境面でひっかかりダメになるケースも相当あり、注意が必要。 

GEトップ交代

GEのCEOジョン・フラナリーがわずか1年で更迭、しかも後任ははえぬきじゃない、ダナハー元CEOのローレンス・カルプだと。

あのはえぬき、且つ長期政権(イメルト氏なんて在任期間16年)で有名なGEとしては画期ですね。しかし、アメリカのガンバナンスはやはりすごいですね。日本なら、間違いなくだらだら続けるでしょ。

アメリカ、欧州のMBAの違い

私は欧州のMBAを出て、アメリカの駐在経験があるのですが、(アメリカのMBAには出たことがないけれど)2つのMBAを考察してみました。

一番の違いは、アメリカでアメリカビジネスを学ぶのか、欧州でグローバルビジネスに学ぶのかに尽きるのかなと思います。

アメリカに住んでみて思うのは、アメリカにいると目の前に、GAFA等世界の時価総額の50%を占め、おまけに巨額のエネルギー産業を持つ巨大ビジネスがあるわけで、みんな外になんて目を向けてない(テキサスの人なんてテキサスしか見てなかったりする)。一方、欧州はグローバルにどうビジネスを展開していくかを真面目に向き合っているし、だから学生も70%以上外国人で多様性を持っている。ケースのディスカッションも「私の国では・・・」という展開で、ExchangeでUSから来た学生が「西海岸ではこうだけど、南部ではこうだ」みたいな話をして、そんな細かい話されてもってみんな白い目でみるなんてこともある。

但し、欧州の方がグローバルで一見よさそうに見えるけど、先ほど言ったように、アメリカ企業が席巻しているわけで、アメリカビジネスを学ぶのは実は価値があるのは言うまでもなく、この辺は好みだと思います。だって、イギリス、フランス、スイス、スペイン企業なんて、少なくとも世界のMajor playerは片手で足りるぐらいです。

個人的には、アメリカは旅行がイマイチ(どこに行ってもハンバーガー、ステーキ、Walmart、歴史なし)なので、MBAで欧州に行って本当に良かったと思ってます。最後はプライベート重視で!

WACC の計算 マーケットリスクプレミアムの取り方(番外編)

前回の続きで、Rf+ERP×βが資本コストになります。

日本の場合は、10年国債が0.1%とかですが、ERPは4,5%あります。過去30年のデータを使った数値になります。株式市場はアップダウンがありますが、長期でみれば投資家はこれだけのリターンを享受してきたということが言えます。もちろん、日本の今後の見通しもありますが、企業の経営者は自身のWACCをクリアーすべく日々経営しているわけで、やはり長期で運用するならインデックスを買うのも悪くないなと思ったりします。