PBR1倍割れの株式について 3
PBR最終回の今回は、ではなぜ商社の株式はPBR1倍割れているか。
本日の株価を見ると伊藤忠以外の5大商社はPBR1倍を切ってます。
そもそも今の商社は、投資会社なので、保有している株式の価値で時価総額も収れんするはず。もちろん、昔買った含み益のある資産や失敗しているがまだ認識してない含み損のある資産はあると思いますが、単純に簿価=時価と置くとPBR1倍ですね。
では、これを上下される要素は何かというと基本的には商社の投資する目利きや保有資産をバリューアップする力がプラスであり、一方、巨大な本社コストがマイナスでしょう。結局、今の市場の評価は稼ぐ力より本社コストの方が大きいと思われています。
各商社、部門横断的な機能を強化(たとえば、鉄×資源とか資源×ITとか)しているのは、商社ならではのValue creationを市場にアピールしたということなんでしょう。
PBR1倍割れの株式について 2
前回の続きでPBRの限界について少し補足をしようと思います。
よく本にPBRというのは、清算価値だから、ある意味フロアーになると書いています。 しかしながら、我々の実感でもわかる通り、保有資産を売却しようとしても、簿価で売れることなんてめったにないし、ましてや、たいていの会社は、儲からなくても、自主的に廃業するのではなく、いくところまでいって倒産するんだろうということを考えると資産なんてFire saleするしかないわけで、フロアーになんてなるわけありません。
ということで、私のPBRのお勧めの使い方は、PBRが1倍割れているなんて、なにが理由なんだろうと考えをめぐらし、ババを掴まないということになると思います。
PBR1倍割れの株式について 1
最近、意味不明に株価が上昇してますね。長期で見れば、DCF等で評価した株価に収束していくんでしょうが、短期の株の動きは、私にはさっぱり理解できません。
さて、ニュースを見ていると、商社株を始め、PBR1倍割れの株の記事をよく見たりします。また、株式の書籍を見ているとPERと並んでPBRを指標と進めているものがあります。しかしながら、私の意見はPBRを元に株を買うのはあまりよくないかなと思います。
PBRは時価総額÷純資産なので、PBR1倍割れというのは、市場が評価した会社の価値が、純資産(つまり会計上の解散価値)を下回っていることを意味します。では、なんで、下回っているのというと、配当が低いとか、含み損を抱えた資産があるとか、いろいろ理由があるんでしょうが、一番の理由、というか基本の考え方からすると事業計画をWACCで割り戻して計算したら、純資産を下回るぐらい収益力がなかったということになるでしょう。
従い、稼ぐ力がないのだから、株を買っても、儲からんということになるのではないでしょうか?
M&AにおけるブレークアップフィーとアサヒのABインベブ買収について
M&A取引では、当事者のどちらか一方が、交渉からドロップする際に、補償として一定金額を払うことがあります。これをbreak up feeと言います。LOIとSPAに分けて考えます。
まず、LOIについて。LOIは一般的に法的拘束力はなく、LOI締結後DDに入り、交渉。妥結しなければ、ペナルティーなしでやることができるのが原則。一方で、売り手の立場からすると、たとえば、同業への身売りで営業秘密も含め開示したり、そもそも、DD対応でものすごく手間がかかる中、その労力と手間のためにbreak up feeが欲しいというもあります。買い手も同じで、DD費用を億円単位でかけることもあり、この場合も破談になれば補償が欲しいでしょう。更に、お金ではなく、break up feeを設定し、相手の本件Dealに対する本気度を見るという意味もあります。相場は取引金額の1-5%と言われています。住友信託とUFJの和解金は確か1%ぐらいだった記憶があります。
次に、SPA締結について。SPAを結ぶと、法的拘束力が発生しますから、CPが充足されれば、クローズする義務があります。一方で、独禁法のクリアランス等のCPがある場合に、クローズできないリスクがあり、これを手当てするためにブレークアップフィーが設定されることもあります。普通の取引だと経験上、設定しませんが。AT&T・T-Mobileの件では取引15%パーセントあたる約60億ドルが設定されたと言われています。
さて、今朝、以下の記事を見ました。このコロナで不透明の中、この巨額買収はしびれます。当然、SPAは締結済みでしょうから、やめるとしたら、訴訟覚悟で一方的な破棄ということしかないのでしょうが、会社のとしてレピュテーションもあり、それも難しいでしょう。飲料ビジネスなので、そこまで打たれないのでしょうから、是非成功させてほしいですね。
アサヒ、ABインベブ豪事業の株式取得で三井住友銀から1.18兆円借入
アサヒGHがABインベブから豪ビール会社買収へ、1兆2000億円 - Bloomberg
商社とリモートワーク
コロナですっかりリモートワークが定着しつつありますが、Afterコロナを考えたとき、総合商社でリモートワークをどう活用していくかを少し考えます。
まず、私がリモートワークをやったみた実感として、以下の感想があり、トータル圧倒的にいい。
・通勤がない。・昼寝もできて、体が楽。⇒生産性が上がる。
・本を読んだり、E-learningで勉強するのに最適。
・Zoom等の打ち合わせもスムーズ。
・なぜか、趣旨がよくわからない打ち合わせが減り、時間が増えた。
・子供のケアができる。(これは共働き世代にはすごいメリットだろう)
デメリットとして感じるのは、雑談ができないことぐらい。トイレですれ違ったときやランチで入ってくる、何気ない雑談から入ってくる情報が意外に大事で、やっぱり、ZOOMでわざわざつなぐのは遠慮してしまう。
上記からは、コロナ後も是非続けるべきという結論になるが、一方、気になるのは、若手の教育。わたしは40代のある意味、仕上がったビジネスマンなので、こんなこと言えるが、職場でのふるまい方を通じて社会生活を学ぶ新人はもちろんのこと、OJTでビシビシしごかないといけない、30代の前半までの若手は、やっぱり、オフィスで徒弟で仕事を学ばないといけないんだろうなと思います。
よって、私の意見としては、やっぱり半分ぐらいはリモート、半分はオフィスというのが最適な気がします。もっとも、役員が毎日出社したりすると、気がついたら、リモートワークは有休みたいに”特別なもの”になってしまう虞がありますが。。。
書評:コンサル一年目が学ぶこと
会社にあったので、読みました。”コンサル”と書いてますが、コンサルに限らず、総合商社はもちろん、どの業界にでも使える、普遍的なTIPSが書かれています。私が普段感じる仕事ができる人の特徴、仕事術が書かれており、新人から若手にお勧めです。是非、読みましょう。
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