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MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

peと商社の違い その7

第7回は案件の評価方法。

 

PE:IRR
商社:PL(とIRR)

 

個人的には、この違いがもっとも、PEと商社のもっとも大きい違いであるように思う。

 

PEは徹頭徹尾でIRR。投資家にコミットしたIRRをいかに達成するかが、案件評価のすべてになります。分かりやすい。

 

一方、商社はもちろん入口ではIRRで案件の選別をするし、NPVやDCF等の基本的な投資評価アプローチをするものの、PEとは違い上場会社なので、PLも意識しながら、案件の評価をしなくてはならない。

 

もはや投資会社の総合商社だが、新聞には「○○商事、今期の純利益は○億円」と出るし、経営者の成績表も毎期の予算(=PL)でつくわけなので、どうしても、益出しのための案件EXITとか、逆に案件の売り時であっても、持分利益を継続して得るために、
継続保有をしたりします。(要はIRRの観点からは非合理的判断)

 

商社の人間は、常にIRRとPLの2つの、ときには相反する評価軸に振り回されるわけで、その点IRRのみのPEの方が分かりやすくていいなと思ったりします。

 

この点、証券会社の勤務のMBAの同級生に相談したら、「上場している限りはPLはついてまわる。非上場の商社なんてありえない。あきらめてください」
と言ってました。。。

peと商社の違い その6

第6回は経営者。違いは以下の通り。

 

PE:プロ経営者
商社:親会社から派遣することも多い。

 

以前、書いたようにPEは”投資家”であって、ガバナンス屋なので、経営を直接やるようなことは基本ない。あくまで、プロの経営者を雇い、その経営者と目標・KPIに握りモニタリングしていくのが手法。

 

一方、商社は、特に国内の案件では経営者を送ることが多い。海外の案件も本当は社長を送りたいものの、日本人の限界があり、特にトレードの延長の事業投資(つまり販社)出ない限り、最近では社長は外国人社長を雇うのが通常だろう。

 

商社の場合、PEの人材とは異なり、入社以来その業界にコミットした商売のプロ人材を内部に抱えていることに加え、ノウハウ獲得や他の事業とのシナジーを利かせたいというニーズが大きい。
もちろん、プロ経営者を雇うと中身が見えなくなるという弊害や親会社の言うことを聞かなくなるのが心配という後ろ向きの理由もある。

 

社長を商社から送り込まない場合でも、営業部長や経営企画に出向させるのはミニマムであり、人を出さずにただ出資するだけというケースは非常にまれであろう。

 

この点、昔、PEと合弁をした際、「貴社(商社)からの出向はやめてください。出向者のパフォーマンスが低いと、プロ経営者に言い訳の材料を与えることになりますから。」と言われたが、この一言に両者の違いが端的に表れているだろう。

peと商社の違い その5

第5回は資金調達。違いは以下の通り。

 

PE:プロファイ
商社:コーポレートファイナンス

 

既に説明の通り、PEの投資は、プロファイによりレバレッジを高めるのが大原則。


一方、商社はインフラ等ではプロファイを使うことはあるものの、コーポレートファイナンスが基本となる。

プロファイは資金効率がいいものの、レンダーから様々な制約が課され、経営の自由度がない。その点、商社の場合は、レンダーからあれこれ言われることがなく、自由度は高い。

但し、これも善し悪しあって、よく商社の子会社は、資金を親会社保証で銀行からバンバンひっぱれるので、緊張感がないとか言われる。

何事もPros Consありますね。

peと商社の違い その4

第4回は成功要因。違いは以下の通り。

 

PE:経験豊かな経営陣
商社:シナジー

 

PEは、事業ノウハウ、シナジーがない以上、基本的には経営をしっかりやることで事業価値を上げる。私は常々、PEはガバナンス屋だと思っていて、経験豊富な経営陣をトップに据えて、会社としてPDCA
をきちんと回すことで経営の効率化をしていき、EVを向上させる。それができなければ、経営者を変える。

 

一方、商社は、既存ビジネスとのシナジーでValue Creationを行う。もちろん、Green fieldの案件では、投資のタイミングだったりも重要になる。

peと商社の違い その3

第三回は投資対象 。違いは以下の通り 

 

PE:安定した成熟企業
商社:必ずしも安定してなくてもいいスタートアップも可

 

PEは、基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、レンダーからCFの固さを要求される。従い、投資対象はCFが安定した成熟企業に限定される。

 

一方、商社は基本は親会社保証のコーポレートファイナンスなので、CFの固さは必要がない。よって、自らベンチャー的な企業を立ち上げることもある。

peと商社の違い その2 事業領域

第2回は、事業領域。違いは以下の通り。

 

PE:幅広い
商社:幅広いが、各BLのビジネスに関連するもの

 

PEは、其々得意分野はあるものの(小売業に強いファンド等)、基本的には専門性は金融であり、業種は問わない。

 

一方、商社も総合なので、会社自体の事業領域は広いが、基本的にはシナジーによるvalue creationがないといけないので、各Business Lineと関連する事業でなければならない。

peと商社の違い その1 リターンの源泉

今回から、全17回にわたり、PEと商社の何が違うについて考察したい。私見も多分にはいりますが。

 

第1回は、リターンの源泉。違いは以下の通り。

PE :レバレッジ、EVの向上
商社:企業成長、EVの向上

 

PE投資は基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、PEのリターン源泉はレバレッジと、シナジーやコストカットによるEVの向上となる。因みに、一般にPEのリターンの源泉の半分はレバレッジ効果と言われている。

 

一方、商社の場合、ノンリコースローンをひっぱらないので、投資対象はPEのようにCFの安定した企業に限らず、early stageの案件にも投資する。従い、シナジー等によるEVの向上だけでなく、企業成長もリターンの源泉となる。