MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

peと商社の違い その12 要求リターン

第12回は要求リターン。違いは以下の通り。

PE:IRR25%
商社:WACC5-10%程度

 

通常PEのIRRは20-30%を求められる。IRR20%といえば、保有期間5年なら、ROIで2.5倍、つまり100億円で買った会社を250億円でうらないといけない。相当重いノルマと言えます。


従って、ファンドはIRRを高める為に、Value up したら早々に売却します。上記の通り、保有期間を短くする必要があるため、PEは会社の成長を待つという悠長なことはせず、また、回収に時間がかかる新規投資等のFresh Moneyを入れるようなことをしません。

 

逆に商社は投資家からの要求利回りが低いので、長期でじっくり事業を育てることができます。たとえば、成長ステージの会社に立ち上げ5年ぐらいはCAPEXを打ち続け、その後10年、20年で回収していくといった長期スパンのビジネスも可能。

日本の調達コストが安いのが大きいが、商社のリターン目線はPEとは大分違うことは覚えておいた方がいい。

 

peと商社の違い その11 投資後のアプローチ

その11は投資後のアプローチ。違いは以下の通り。

 

PE:ガバナンス強化、コンサルを通じた収益強化
商社:Green Fieldの成長、本業とのシナジー

 

PEは何と言ってもガバナンス屋。DD,そして100日プランでValue up策を打ち立て、その施策の実行にインセンティブを与え、ビシビシと経営者をモニタリングし、EBITDA改善を行う。

 

一方、商社もPEのような活動をしないわけではないが、まだまだ成長ステージの会社を長期スパンで育成したり、既存事業とのシナジーでの価値創造がメイン。

PEと商社の違い その10 投資期間

第10回は投資期間   違いは以下の通り。

 

PE:2-7年でEXIT
商社:年限なし

 

PEの場合、投資家にお金を返さなければならず、
また高いIRR目標(IRR20-30%)もあり、長期間
保有することができない。通常2-5年、長くても7年
ぐらいで売却する。

 

商社は、基本的にはEXITを想定せず、長期保有
前提であるのが通常。長期であることにより、設備投資等の新規投資を行い、じっくりと長期で会社を成長させることができる。

 

PEと商社の違い その9 Value creationのアプローチ

 

第9回はValue creationのアプローチ。

PE:LBO、リストラ
商社:事業ノウハウ

 

一般的にPEの価値創造の50%はレバレッジで、残りはEBITDAの向上。もちろん、最近のPEはコンサル的な要素もあり業務改革でRevenueを増加させてりもするが、伝統的にはコストカットメイン。

 

一方、商社は、傘下に様々な会社を持ってポートフォリオを有しており、例えば、川上(ドール)、川中(伊藤忠食品)、川下(ファミマ)みたいなシナジーを生み出しやすい。

PEと商社の違いその8 モニタリング

第8回はモニタリング

PE:EBITDA(CF)
商社:税後利益と成長性

以前も説明したとおり、PEの評価軸はIRRであり、
企業価値を上げる為EBITDAを増やすことに専念する。

 

一方、商社は、出資時の評価はIRRでやるものの、
その後のモニタリングはPLが重視される。要は
予算の達成。

 

また商社の場合、PEと異なり、Early stageの会社に
フレッシュマネーを入れて成長させることも行うことから、売上が当初の想定通り伸びているか、またそのポテンシャルに注目して事業を評価したりする。

peと商社の違い その7

第7回は案件の評価方法。

 

PE:IRR
商社:PL(とIRR)

 

個人的には、この違いがもっとも、PEと商社のもっとも大きい違いであるように思う。

 

PEは徹頭徹尾でIRR。投資家にコミットしたIRRをいかに達成するかが、案件評価のすべてになります。分かりやすい。

 

一方、商社はもちろん入口ではIRRで案件の選別をするし、NPVやDCF等の基本的な投資評価アプローチをするものの、PEとは違い上場会社なので、PLも意識しながら、案件の評価をしなくてはならない。

 

もはや投資会社の総合商社だが、新聞には「○○商事、今期の純利益は○億円」と出るし、経営者の成績表も毎期の予算(=PL)でつくわけなので、どうしても、益出しのための案件EXITとか、逆に案件の売り時であっても、持分利益を継続して得るために、
継続保有をしたりします。(要はIRRの観点からは非合理的判断)

 

商社の人間は、常にIRRとPLの2つの、ときには相反する評価軸に振り回されるわけで、その点IRRのみのPEの方が分かりやすくていいなと思ったりします。

 

この点、証券会社の勤務のMBAの同級生に相談したら、「上場している限りはPLはついてまわる。非上場の商社なんてありえない。あきらめてください」
と言ってました。。。

peと商社の違い その6

第6回は経営者。違いは以下の通り。

 

PE:プロ経営者
商社:親会社から派遣することも多い。

 

以前、書いたようにPEは”投資家”であって、ガバナンス屋なので、経営を直接やるようなことは基本ない。あくまで、プロの経営者を雇い、その経営者と目標・KPIに握りモニタリングしていくのが手法。

 

一方、商社は、特に国内の案件では経営者を送ることが多い。海外の案件も本当は社長を送りたいものの、日本人の限界があり、特にトレードの延長の事業投資(つまり販社)出ない限り、最近では社長は外国人社長を雇うのが通常だろう。

 

商社の場合、PEの人材とは異なり、入社以来その業界にコミットした商売のプロ人材を内部に抱えていることに加え、ノウハウ獲得や他の事業とのシナジーを利かせたいというニーズが大きい。
もちろん、プロ経営者を雇うと中身が見えなくなるという弊害や親会社の言うことを聞かなくなるのが心配という後ろ向きの理由もある。

 

社長を商社から送り込まない場合でも、営業部長や経営企画に出向させるのはミニマムであり、人を出さずにただ出資するだけというケースは非常にまれであろう。

 

この点、昔、PEと合弁をした際、「貴社(商社)からの出向はやめてください。出向者のパフォーマンスが低いと、プロ経営者に言い訳の材料を与えることになりますから。」と言われたが、この一言に両者の違いが端的に表れているだろう。