MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

前田道路 TOB成功

 

ついにTOBが成立しましたね。コロナで株価が低迷して、投資家からしてたらTOB価格が魅力的に映ったのでしょう。前田建設からするといる意味神風ですね。

 

前田建設、前田道路を子会社化へ TOB成功 :日本経済新聞

 

当初の目論見との比較でいると、Net Debtが例の特別配当の500億円*で減ることとコロナの影響でValuationのベースになっている事業計画が下振れするのであれば、その分、プレミアムが乗ることになるのでしょう。

*特別配当は、前田建設が元々25%もっており、同社が今回125億円受領し、することをかんがえると、いることを考えると実質の影響は、375億円)

 

同業との提携あたりから、若干前田道路の大義が薄れてきていたので、投資家が見放したというのもあるかもしれません。

 

因みに、前田道路の経営陣も今回クビ(乃至自ら辞職)になるんでしょうが、これだけ素晴らしい業績を残してきた経営陣がいなくなるのも、前田建設以外の株主にのってどうなんでしょう?

TOBするなら一般株主の分をすべて買い取り、100%するのがやはり筋ですよね。

Finance trains business CFOの役割

先日事業会社のCFOと話をした 彼が自身の役割としてタイトルの言葉を言ってました。 要はベンチマークだったり、月次資料分析だったり とにかく客観的なデータでbusiness groupに煙たがられてもチャレンジするのが使命だとのこと それが結果として強い組織になると 参考になったのでシェアします。

なぜ明らかに高い値段で買収するか?

 後輩から、なんであの会社はあんな高い買い物をするんですかね?と聞かれたので、

以下、私の考えを。

 

まず、以前述べた通り、経営者がM&Aをやりたくなってしまう、背景があります。 

なぜ経営者はM&Aが好きなのか? 失敗する理由 - MBA x 総合商社道場

 

成功確率が半分以下ともいわれるくろすぼクロスボーダーの取引をそれでもやりたい理由は、それはグローバル市場へ参入するためのプラットフォームづくりであり、インフラを得る、人財を得る、ブランドを得ることができるからでしょう。

 

定量化が難しいメリットですが、実際あることはあると思いますし、一世一代の大勝負というのもM&Aにはあるような気がします。

 

 

Walk Away Price 以外のWalk Away事項

以前、買収価格がこのラインを越えたら、潔く撤退すべしというWalk Away Priceについて書きましたが、値段以外にも Walk Away 事項があります。

 

walk away price の難しさ M&A - MBA x 総合商社道場

 

1つは、シナジーが実現できないとわかったとき。これは値段にも関連しますが、通常は、シナジー込みで、買収価格を設定しますが、この際見込んでいたシナジーができないことがDDで判明したら、結局損をしてしまうので、やめるべきです。

 

あと、人。人材流出リスクが排除できないとわかったら、これもやめた方がいいですね。やはり、人事DDは大事です。

 

 

Post-Closing Due Diligence

本を読んでいると、Post-Closing Due Diligenceの実施がよくレコメンドされている。確かに、買収前のDue Diligence(DD)で得られる情報は限定的であり、Lixilのグローエ買収時に問題になった中国の出資先の不正会計(Lixilは600億円を超える損失を計上)等、特に海外買収先の不正・不祥事に頭を悩ます事例あり。従って、買収後すぐにDDをやり、問題点を把握するのは理にかなっている気がします。また、表明保証が通常1年程度で切れてしまうという観点からも、早期発見は大事です。

でも、やっている事例は少ないような。理由は2つと思います。

 

1.忙しい

  買収プロセスで疲弊、PMIで多忙な中、Post-Closing Due Diligenceなんてやっていられないというのが現場の正直な気持ちではないでしょうか?現実的には表明保証が切れる前に、内部監査を入れるとかですかね。

 

2.責任問題

  前述の通り、買収前のDDで100%のリスクを発見できないのは構造上の問題ながら、やっぱりPost-Closing Due Diligenceで何見つかってしまうと、買収チームは何をやっていたんだということになってしましまいます。 これも、トップが何か出てきても責めないという姿勢が大事なんでしょう。

 

いろいろ言いましたが、メリット明らかなので、やった方がベターですね。皆さんの会社はルール化されていますか?

 

 

 

 

 

ストレッチした予算(事業計画)の弊害 

商社ビジネスもすっかり投資になり、特に海外の事業は現地人の経営者に任せて、基本はBoardを通じたガバナンスを利かせるのが基本になる。その際、注意しないといけないのは、プレッシャーのバランス。アメとムチ、つまり報酬とノルマということになるが、予算に高い過ぎる数値目標やコミットメントの度合いを強め過ぎてもいけない。

極端な例としては、どうせ予算未達になり、クビになるなら、逆転満塁ホームランを狙ってやると、リスクの高いことに手を出したら、場合によっては不正を働くということも想定されます。

一方、地味に気をつけたいのは、高い売り上げ目標を掲げると、株主もそれに合わせた、在庫枠、借入枠、経費を認めざるを得ない。結果、コストがずぶずぶになり、売上は伸びないは、コストは増えるはで、ダブルパンチになります。

 

クロージングにおける価格調整方法 その3  M&A

以前、以下の記事を書きましたが、いくつか質問を受けたので追記します。

クロージングにおける価格調整方法 その1(Locked Box 方式) M&A - MBA x 総合商社道場

クロージングにおける価格調整方法2(Completion Adjustment 方式) M&A - MBA x 総合商社道場

 

Q1.この2つの使い分けは?

   基本となる考え方は、売り手から買い手へのリスクの移転を契約時にするか、クロージング時にするかという点。会社は生き物なので常に変動しています。従い、在庫が増えたり・減ったり、儲けたり、損したりするわけです。 契約時点でこのリスクを買い手に移転させるのが、Locked Box、クロージング時点で移転させるのが、Completion Adjustmentです。

 

あとは実務的な問題として、Completion Adjustmentは譲渡価格が最終的に決まるのが、クロージングから数か月後になったり、そもそもAdjustmentの作業(監査報告書作成の事務、交渉、調整のための送金や回収リスク)等が面倒というのもあります。

 

それでもなんでやるのかというと、買い手が契約からクロージングまでの期間のリスクをヘッジしたいということにつきます。

 

Q2 Completion Adjustmentって何と何を調整するの?

その2で説明したとおり、Net DebtとWorking Capitalについて”契約書で握った基準”と監査レポート記載のクロージング時の残高の差を調整します。

”契約書で握った基準”は、売り手と買い手が契約書で合意した内容になりますが、通常はNet Debtはクロージング時の予想、Working Capitalは正常運転資金(回収サイト、支払いサイト、在庫期間から計算された理論上の運転資金)になります。

ただ、買い手が立場が強いときは、評価基準日(たどえば、クロージングが2019年12月末でも、評価基準日が前決算期末の2019年3月末)のNet DebtとWorking Capitalを使ったりすることもできます。(売り手にとっては、社内申請と数字がずれなくなるので便利だったりします)