MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

生産性

生産性の議論はメディアを見ても、働き方や自動化等が多いのだけど、アメリカ等との比較で、日本の労働者の勤勉さと賃金の低さを見ると、問題はPricing、値付けのような気がします。

 

いいものを安くというのは消費者にはありがたいですが、おいしい牛丼や天丼が500円で食べれたり、日本車だってもっと高く売れそうな気がします。

 

ブランド、ストーリー、デザイン等に力を入れて方が生産性が上がるような。あとは、私の小売り経験からすると”強気さ”を持つということ。値段を上げるのはやっぱ自信と気合がいります。

 

議決権行使助言会社

議決権行使助言会社を新聞等でよく見るようになりました。米ISSや米グラスルイスが大手。

ビジネスモデルは株主総会の議案に対して、株主が賛成か反対の意見をレポートにしてそれを

機関投資家に販売し収益を上げます。

 

投資家はなぜ買うかというと、分析する手間と時間を省き参考情報を得たいというのもありますし、運用会社としてのfiduciary dutyや説明義務を果たすための材料の一つとして第三者(助言会社)の意見となるという面もあると思います。また会社の意に反する票を投じる場合のExcuseにもあるでしょう。

 

Proxy flightになれば相当影響力がある一方、個社の事情・戦略等をどこまで見たうえで、

きちんとした意見をだすことができるかが今後問われれるんでしょう。

 

しかし、議決権行使の助言なんておもしろいビジネスがあるんだなと思いました。

 

コントロールの考え方

前提は、過半数で普通決議、2/3で特別決議。自社ともう1社で合弁。

 

出資比率が

1/3超   パートナーが会社をコントロール・自社は特別決議について拒否権

過半数   自社が会社がコントール。パートナーが特別決議について拒否権

2/3超   自社が完全支配

 

M&Aの基本になりますが、M&Aは支配権の移動による価値創造が利益の源泉になります。

分かりやすく言うと、A社からB社に経営が移ることにより、B社のとのシナジーが生まれたり、B社からベターな経営者を送ることで、事業計画が変わり、EBITDAが増え、株式価値が増加するというのが基本メカニズム。

 

買収プレミアムもTOBの過去データによれば+30%ですが、これも自動的に時価×130%と

計算するわけではなく、新しい事業計画を作り、その結果時価が、たとえば150%まで

増えれば最大50%までプレミアムが支払え(あとはどう買い手と売り手で配分するか)、

一方、新しい事業計画で時価が変わらなければ、1ドルもプレミアムは支払えません。

 

更に、たとえば、70%既に持っている会社の残り30%を買い取る話があったとすると、

既にコントロールを持つこと(つもり事業計画が変わらないので)から、払える金額は

最大今の時価です。交渉で価格が合わなければ、ほっておけばいいです。会社を

既にコントロールしており、何も困ることはありません。

 

Showroomの記事について

 

https://president.jp/articles/-/29600

 

Showroomについての記事がありました。官報等から丁寧に数字を拾ってすごいですね。

 

“価値が1/10に”とありますが、わずか12百万円のために、Down roundするかなという疑問がわきますが。

 

この記事では、DCFによる評価と書いてますが、通常ベンチャー投資の場合、DCFはあまり使いません。

 

ベンチャーの場合、売り上げ増をどう見込むか等事業計画があてにならないこと、また割引率の設定が難しいこと(上場株からとったベータでは適切なリスクを反映できない。たとえば、30%とかで割り引くこともできるが、30%である根拠がない)が理由です。

 

従って、マルチプルが主流です。一方で、赤字であることもままあるので、PERやEBITDAが使えないこともままあります。その場合は、PSR( price sales ratio)が使われます。つまり、時価総額を売り上げで割って、そのマルチプルで価値評価をする。

 

PERやEBITDAは基本はCash flowに近い指標になり、事業から生み出されるCashに価値をつけるというファイナンスの理論に合致するものですが、売上は粗利益率や販管費比率は会社、ビジネスによって当然違うわけで、同じ売上高でもEBITDAは大きく違うことは当然あります。ということで、PSRは非常にざっくりしたValuationになります。

 

もっとも、ベンチャー投資はポテンシャルにBetするものなので、ビジネスモデルをきちんと評価し、可能性を感じるなら、評価自体はそこまで重要にはならないのかもしれません。

お行儀

M&Aでは、LOI(意向表明書)で取引の大枠を握りDue Deligence(DD)に入り、株式譲渡契約(SPA)、そしてクロージングになるわけですが、通常、法的拘束力が生じるのはSPA締結であり、それまでは基本、Non-binding baseになります。

 

もちろん、買い手からすればDD前のLOIでBindingにできるわけもなくそれはそれで仕方ない

にしても、取締役会で否決されてしまえば当然Dealは買いませんし、DDの途中に気が変わったというのも十分ありえます。これが嫌な売り手は、Breakup feeを要求しwalk awayを抑止したり、実行性はともかく、good faith条項を入れて、信義則を問うということでそれのprotectionをします。

 

以前にも述べましたが、ただやめればいいだけの買い手と異なり、売り手はDDまで入ってしまうとやめれないとまではいいませんが、実務的に難しい局面も十分想定されます。たとえば、DDを売り手だけでやるのは無理なので対象会社の社員を通常巻き込みますが、一度、売ると決めた以上、やっぱやめたとなった後、対象会社の社員の心は株主からは離れてしまいます。

損害賠償できたとしても、こういうのはカバーできないですしね。

 

こう考えると、特に相対の場合、買い手のポジションが強くなります。従い、LOIでは甘い言葉でささやきとりあえずDDにはいり、DDで重箱の隅をつつきまくり、値段をたたきまくるということも可能になります。もちろん、LOI時にはわかってなかったこと、DDで新たな事実が分かった場合は遠慮くなく値下げすればいいと思いますが、そうでない場合は、LOIでのコミットを守る、お行儀の良さが求められるように思います。長期で見れば、それが業界での評判にもなるんでしょうし。

 

 

失敗する価値のある案件

M&Aは、失敗がつきもの。もちろん、成功確度を高めるのが大事であるものの、実際にはどうしても失敗するときは失敗します。外部要因もあります。

そこで大事なのは、失敗する価値のある案件をやるということ。あとから、なんでやったんだろう、と思うような投資はしてはダメです。

案件は失敗したが、商品知識、業界ネットワークは手に入るとか、あの案件でダメだったんだから、この業界は諦めようと思えるような案件とか、そういうのが大事です。

特に、投資ファンドではない、事業会社である商社人はそういうマインドが大事。

 

良い案件

良い投資案件をやる、これが我々の究極の目的にはなるものの、実際には難しいです。

前から言う通り、ほとんど買値で勝負は決まる一方、高い値段を出さないと競合に勝てないのも事実。

従って、マインドセットしては、「良い案件をやる」のではなく、「良い案件にする」というのが大事な気がします。