MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

ライザップ 会計知識の必要性

最近、マスコミをにぎわしているライザップ。業績不振企業を純資産以下で買い、負の暖簾による一括利益計上でPLを作っていたとのこと。業績を右肩上がりに見せて、成長を演出、今年6月に350億円を高値で増資しているあたり、んー、品がないといったら言い過ぎか。。。

https://biz-journal.jp/2018/04/post_23110.html

もっとも、決算書を見ればこんなからくりすぐわかるわけで、はやり個人投資家も最低限の会計知識はないといけませんね。しかも、こんな再生ファンドみたいなハイリスク投資ビジネスをやっている会社を高いマルチプルで買ってはいけません。繰り返しになりますが、実力ベースのEBITDA×マルチプル、この計算式をとことん突き詰めないといけません。

しかし、この会社は本業の健康・ダイエット事業は、これから海外展開を考えても、中々面白いなと思う一方、買収した会社がまじめに調べたわけではありませんが、まぁ、正直旬を数十年前に過ぎた会社も多く、再生といってもねーという感じです。

ということで、ちゃんとValuationしようと思うと、健康・ダイエット事業とそれ以外の投資ビジネスを分けて、前者はDCFで計算、後者は清算価値等で評価して仕上がりいくらかみたいな計算をざっくりしようとおもったり、セグメントもぐちゃぐちゃ(わざとか?)で計算できませんでした。

まぁ、さっき言った通り、増資をして資金はあるでしょうから、この資金を使って、ダメな事業をびしびし切っていけるかが大事な気がします。

M&A取引 入札と相対のメリット デメリット

会社を売るときに競わして値段をつりあげるというのが、会社を高く売る、コツなわけで、一方、買い手はいかに関係を築いて、相対に持ち込むというのが腕の見せ所になります。

ということで、売るなら入札というのが基本ですが、相対の良さもあります。以下の通り。

1、買い手の数

  世の中にはWorkが無駄になるのを嫌い入札に出ない会社もあるので、相対の方が書いてが多いと思われます。

2、秘密保持

  特にターゲット会社の従業員に売却を知られたくない場合は、相対がベター。入札は投資銀行が売り歩くし、DD対応が重くなり、情報が漏れやすくなります。

3、労力が減る

  複数者のDD対応、交渉はやっぱりheavy lifting jobなので、相対は楽。

4、実現性

  相対にすると買い手にも同義的責任(法的ではない)が生じるので、買い手も本気で取引をしてくれる。

 

 

 

M&A 入札(オークション)の選定基準 その2

前回、入札では、価格と確実性が大事だと説明したが、それ以外の要素を説明する。

まず、買い手の素行。LOIレベルではいい価格を出しておいて、優先交渉権をとったら、手のひら返しして、買い叩いてくる会社もある。過去のトラックレコード・評判等で信頼できる相手かを見極める。

あと、ここからは浪速節になるが、買い手=新たなオーナーがターゲットの従業員を幸せにしてくれるかなんて視点もある。買った後、ひどいコストカット等をする会社には売らないというそういう矜持は持ちたいものです。

M&A 入札(オークション)の選定基準 その1

入札でMAをする際、価格が一番高いところが競り落とすのが基本であるが、それ以外にも選定基準がある。価格の次に大事なのは確実性だ。つまり、Prefered Bidderに選んだらきちんと買ってくれるか。ポイントはいかの通り。

1、ファンディング

  買い手にお金があるか。資金調達ができているか。また、PEの場合は、LBOローンが条件になっている場合があり、この場合は入札上マイナスになる。

2、買い手は1社か複数か

  買い手の社内手続きが当然あるわけで、共同買収で複数の買い手がいる場合より、1社の買収のほうが当然実現性は高くなる。更に共同買収の場合は、合弁契約書でもめる可能性ある。

3、本気度

  買い手がどれだけ、その投資にコミットするか。

もちろん、価格が大事だが、たとえば資金調達が怪しいとなれば、2番札を選んだりするわけだ。

 

3、

Seller's DD セラーズデューデリジェンス

通常、DDは書いてがやるものであるが、実はSellerが自ら株式を保有し経営してきた会社のDDを売却前に行うことがある。私が思うメリットは以下3つ。

1、Deal Killerの発見

  売り出す前に自分が気がついてないDeal Killerを発見することができる。一旦オークションを始めて、関係者も売却モードになってから、Dealをやめるとネガティブな影響が大きいので、事前に手が打てるメリットはある。

 

2、添付書類の作成

  表明保証の例外として添付書類を売り手が用意する。(表明保証:添付の例外2件を除き、訴訟はないと記載) 通常、CFOや管理担当に記憶ベースで添付書類を作ってもらうが、これがそれなりにヘビーな仕事でまた精度も気になるところ。 Seller's DD をやれば、弁護士や会計士が作ってくれるので、安心。

 

3、交渉のプランが立てられる

  Seller's DDでIssueをリストアップされれば、相手が突いてくるであろうポイントが事前に分かるので交渉プランが立てやすい。Seller's DDしない場合、自分が気がついてないポイントがあると、あとから価格を下げられたり、不利な契約になったりして、社内で怒られてするので、要注意。

 

もっとも、上記メリットがあるが、結局、商社の子会社なんて内部監査やインターナルコントロール、日々のやり取りで重要ポイントは全部把握している(はず)なので、その中で、費用と手間をかけてSeller's DDをやるかというと通常はやらないし、私も1回しかやったことない。

 

M&A 保険デューデリジェンス

これもマイナーなDDである保険DD。通常、保険会社に事業のリスクを理解してもらったうえで、あるべき保険内容(自動車製造ならPL保険等)を調べてもらい、かけもれがあればクロージング時に手配する。当然保険料は販管費増となるので、モデルの費用を見直し、買収価格の評価に反映する。