MBA x 総合商社道場

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M&Aにおける独占交渉権

M&Aでは特定の買い手に独占交渉権を与えることがある。

これは買い手にとってのメリットとなる。M&Aの場合、買い手は膨大な時間とコストをかけてDDを行うわけで、散々調査し、社内承認も取った挙句他社に持っていかれる事態はできればさけたいわけで、そのためには、独占交渉権が必要となります。因みに、私はSPA交渉中に独占交渉権が切れ(延長を申し入れていたがのらりくらりされ)、その2日後に他社に持っていかれた経験があります。なので、独占交渉権をもらっても、緊張感をもってやりましょう。

一方で、売り手にとっては、デメリットになることが多い。まず、複数社に競わせて値段を吊り上げるというのが売却の基本なので、これができなくなります。もちろん、LOIにきちんと価格を提示させて自分が満足する値段であることを確認したうえで、独占交渉権を与えるわけですが、DDをすれば必ず減額アイテムは出てくるわけで、LOIに比して大幅にディスカウントをネゴられるのはよくあることです。因みに、「〇〇さん、DDは減額だけでなく、いいところが新たに見つかればLOIより値段を上げることもありますから」という人は、大体、激しくディスカウント交渉してくる癖があります。(経験則ですが)

また、これが最悪なのですが、独占交渉権をもらっても本気でやらない会社がたまにあります。そうすると売却がSuspendするだけなので、相手の本気度をきちんと見た方がいいです。よくあるのは、対面の担当はめちゃやるきだが、役員クラスまで話が上がっていない等 

ということで、結局、独占交渉権をあげてもあまりいいことはありません。ではなぜ与えることがあるかというと、結局、いいバイヤーを確保するためだと思います。ごくまれに入札にはでないというバイヤーもいますし、3社も4社も競わされるならちょっというバイヤーもいます。(要はバイヤーの本気度が下がる)  まぁ、お互い本気できちんとLOIを守ってくれれば、相対でやるのが、早くて効率的ではあるので。

まぁ、売り手的には優先交渉権を上げずに「基本的には御社以外とやりませんが、紙で出すのはちょっと」ということで許しにもらうに越したことはないですね。