MBA x 総合商社道場

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M&AにおけるブレークアップフィーとアサヒのABインベブ買収について

M&A取引では、当事者のどちらか一方が、交渉からドロップする際に、補償として一定金額を払うことがあります。これをbreak up feeと言います。LOIとSPAに分けて考えます。

 

まず、LOIについて。LOIは一般的に法的拘束力はなく、LOI締結後DDに入り、交渉。妥結しなければ、ペナルティーなしでやることができるのが原則。一方で、売り手の立場からすると、たとえば、同業への身売りで営業秘密も含め開示したり、そもそも、DD対応でものすごく手間がかかる中、その労力と手間のためにbreak up feeが欲しいというもあります。買い手も同じで、DD費用を億円単位でかけることもあり、この場合も破談になれば補償が欲しいでしょう。更に、お金ではなく、break up feeを設定し、相手の本件Dealに対する本気度を見るという意味もあります。相場は取引金額の1-5%と言われています。住友信託とUFJの和解金は確か1%ぐらいだった記憶があります。

 

次に、SPA締結について。SPAを結ぶと、法的拘束力が発生しますから、CPが充足されれば、クローズする義務があります。一方で、独禁法のクリアランス等のCPがある場合に、クローズできないリスクがあり、これを手当てするためにブレークアップフィーが設定されることもあります。普通の取引だと経験上、設定しませんが。AT&TT-Mobileの件では取引15%パーセントあたる約60億ドルが設定されたと言われています。

 

さて、今朝、以下の記事を見ました。このコロナで不透明の中、この巨額買収はしびれます。当然、SPAは締結済みでしょうから、やめるとしたら、訴訟覚悟で一方的な破棄ということしかないのでしょうが、会社のとしてレピュテーションもあり、それも難しいでしょう。飲料ビジネスなので、そこまで打たれないのでしょうから、是非成功させてほしいですね。

 

アサヒ、ABインベブ豪事業の株式取得で三井住友銀から1.18兆円借入

アサヒGHがABインベブから豪ビール会社買収へ、1兆2000億円 - Bloomberg