MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

負債コストの理論1

以前負債コストは、企業の借入コストから推定するのがPracticeであることを説明した。実務ではそれで全てであるが、今回は負債コストの理論をもう少し掘り下げたい。

 

CAPMで使用する負債コストは、実際は企業の借入コストではなく、投資家の期待利回りを使うべきというのが理論となる。借入コストは数式でいうと以下の通りで、投資家はある程度倒産リスクを利回りに上乗せしており、実際の期待利回りは表面利回りから当該倒産リスクを除いたものとなる。具体的には、100の債権で表面利回りが8%とし、倒産確率が5%で清算配当が20%あるとすると倒産リスクが4(100*5%*(1-20%))とすると、投資家の期待リターンは4%となる。

   借入コスト(表面利回り)=期待利回り+倒産リスク

  

ということで、実務では企業の借入コスト(表面利回り)を使うが、理論的には期待利回りを使うべしということになる。

 

因みに、コーポレートファイナンスの教科書で、投資不適格の借入コストは、信用スプレッドが乗って高くなる為注意が必要と書いてあるが、この意味するところは、投資適格であれば倒産リスクは少なく、借入コスト=期待利回りだが、投資不適格の場合、倒産リスクがのるので、借入コスト≠期待利回りとなるということを意味している。