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MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

M&A取引の本質

 「コントロールプレミアムとは何か?」の回で、M&A取引において、買い手は自らの事業計画を作成して、そこから得られるシナジーをポケットに平均30%のプレミアムを上乗せして株式取得対価を支払うことを説明した。

 

これの意味するところを2つ。1つ目は、M&A取引はwin-winであるということ。

「株式価値は1つか?市場株価=時価か?」の回で説明した通り、株式の価値は所有者によって異なる。M&Aは既存株主のAさんから、より価値を高めることができるBさんに株主が異動することを意味する。例えば、Aさんにとっての対象会社の価値(いわゆるstand alone value)が100億円であるのに対して、Bさんは150億円まで株式価値を高めることができるとする。プレミアム30%を払うことの意味は、生み出された価値50億円(150-100)のうち、30億円を売主が、20億円を買主がEnjoyするということを意味する。つまり、株主異動により、売主・買主両方が得するスキーム。

 

2つ目は、M&A取引は買った時点では、30%負けているということである。上記の例では、買った時点では100億円の価値のものに対して、130億円支払う。当然、買い手は見込んいるシナジー等実現させ、将来的には150億円に株式価値を高め、30億円のプレミアムの回収はもちろんのこと、20億円(150-100-30)の利益も享受することを狙う。しかし、買った時点では、現金で30億円プレミアムを払っている、つまり30億円損した状態からスタートしているのだ。だから、競合に買って、買収できたことを喜んで、みんなで打ち上げして飲み歩いている場合ではない(自戒をこめて)。高い金を出して買収することなんて誰でもできる。

シナジーの実現は不確定要素がつきまとう。従って、M&Aの成功は1にも2にも事業計画の達成確度が大事となる。