MBA x 総合商社道場

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DCFは精緻でかっこいい?(マルチプルのメリット)  

マルチプルのメリットは何と言っても、シンプルなこと。

 DCFは、様々な前提の上に計算される為、事業計画(Cash Flow)、割引率や成長率等を間違えると計算結果が大きく異なる。(向こう10年のCash Flowを正確に予想することは相当難しい!にも拘わらず、このCash Flowに価値をつけるのがDCF)また計算自体もExcelで計算される為、算出された計算結果(株式価値)に肌感覚がない。

 

その点マルチプルは、EV=EBITDA×マルチプルで計算するだけなので、シンプルで間違いが少ない。電卓で計算できる。

 

EBITDAについては、DCFのように事業計画で向こう10、20年の予測は不要であり、直近決算の数値の固さを見ればよく、他方マルチプルについては、類似業者の株価の中央値から取るだけでいい。

 

マルチプルについては、株価(タイミング)で大きくぶれる点は注意が必要であるが、これについては、rule of thumb(私の経験則)があり、EBITDAマルチプルで言えば、5-10倍の範囲かどうかを見ればいい。5倍ならお買い得、10倍なら高いという認識のもとで、買うかどうかを決めればいい。10倍を超えると少し高くて手が届かないなという感覚になる。(もちろん、これはPE投資の対象となるようなある程度Cash Flowが安定した会社の話で、成長が著しいベンチャーは別)

 

私個人の感想としては、このように電卓で計算でき、ある程度相場感をもって、計算できるマルチプルは、例えDCFで評価するとしても、きちんと計算して数字を掴むことが大事と思っている。いろんな物差しでFair Valueを追求する姿勢が大事だ。