MBA x 総合商社道場

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価格調整方法 その1(Locked Box 方式)

今回から2回に亘り、価格の調整方法について解説する。M&A取引では株式譲渡契約書締結から実際の株の受渡しまで時間がかかるが、この間の株式価値算定のベースとなる現金も増減する為、この増減をどう価格に反映するかという問題がある。実務ではLocked Box 方式とCompletion Adjustment 方式の2つがある。

Locked Box 方式は、価値算定基準日におけるBS(純有利子負債および運転資本残高)を元に買収対価を算定し、当該対価をクロージング日に支払い、取引が完了。例えで言えば、2016年3月末ベースでValuation、その価格をベースに株式譲渡契約を2016年12月末に締結し、2017年3月末にクロージング、当該金額を買い手が売り手に支払う。

価値算定基準日と比して、クロージング時に現金が増えていようと減っていようとCompletion Adjustment方式のように後から調整をしないので、紛争は起こらず、また簡単なのがメリットです。サラリーマン的には売却価格がSPAにて確定するので、予算管理をしやすいというメリットもあります。

買主に配当等で現金を吸い上げられないよう、SPAで予めPermitted Leakage(売主に認められた現金支払い。給料、商品仕入れ代金等支払わないとオペレーションが回らないもの)を定め、クロージングまでに勝手にCashを流出されないようする必要があります。

このLocked Boxポイントは、株式の譲渡はクロージングに生じるものの、価値算定基準日以降のキャッシュフローは、買い手に帰属すること。よって、Cashを生んでいる事業であれば理論上買主が得をするはずであるが、実際は運転資金を始めCash残は蓋を開けてみないと分からないし(季節性、一過性の取引もあり予測は意外に難しい)、買い手よりも売り手はより情報多くの情報を持っており、結局は売り手が有利なようにうまくやるという点から、Sellerに有利な方法と言われる。