MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

M&A

シナジーなんて出たことがない

私はシナジーが嫌いだ。シナジーはM&Aの世界において一番のmagic wordなんだろう。 もちろん、M&Aの本質は、オーナーが変わることにより、シナジーが生み出され、100のものが130や200とかになり、それを売り手と買い手が山分けする win -win の取引であると…

Valuationができる とはどういうレベルか?

ファイナンスの教科書を読んで、Valuationを勉強すると意外に簡単と思うはず。DCFももちろん簡単なのですが、PERなんて、対象会社の純利益に類似業者の倍率(時価総額÷純利益の業界平均)をかけて算出するだけ。使うのは掛け算ということで、算数の世界です…

PERで資本構成を同じにしないといけない理由

PERで類似業者を選ぶとき、同じ資本構成を選ばないといけません。理由は以下の通り。 A社 EBITDA 50 利払い 20 純利益30 B社 EBITDA 50 利払い 0 純利益50 A社 EV 1000 Debt 500 MV 500 B社 EV 1000 Debt 0 MV 1000 A社 EBITDA倍率 20 PER 20 B社 EBITDA倍率…

議決権行使助言会社って何という人に解説しました

議決権行使助言会社を新聞等でよく見るようになりました。米ISSや米グラスルイスが大手。 ビジネスモデルは株主総会の議案に対して、株主が賛成か反対の意見をレポートにしてそれを 機関投資家に販売し収益を上げます。 投資家はなぜ買うかというと、分析す…

M&A におけるコントロールの考え方

前提は、過半数で普通決議、2/3で特別決議。自社ともう1社で合弁。 出資比率が 1/3超 パートナーが会社をコントロール・自社は特別決議について拒否権 過半数 自社が会社がコントール。パートナーが特別決議について拒否権 2/3超 自社が完全支配 M&Aの基本に…

M&A取引におけるお行儀

M&A

M&Aでは、LOI(意向表明書)で取引の大枠を握りDue Deligence(DD)に入り、株式譲渡契約(SPA)、そしてクロージングになるわけですが、通常、法的拘束力が生じるのはSPA締結であり、それまでは基本、Non-binding baseになります。 もちろん、買い手からすれ…

M&Aの心構え 失敗する価値のある案件

M&Aは、失敗がつきもの。もちろん、成功確度を高めるのが大事であるものの、実際にはどうしても失敗するときは失敗します。外部要因もあります。 そこで大事なのは、失敗する価値のある案件をやるということ。あとから、なんでやったんだろう、と思うような…

M&Aの心構え 良い案件

M&A

良い投資案件をやる、これが我々の究極の目的にはなるものの、実際には難しいです。 前から言う通り、ほとんど買値で勝負は決まる一方、高い値段を出さないと競合に勝てないのも事実。 従って、マインドセットしては、「良い案件をやる」のではなく、「良い…

M&A案件の規模と手間 案件の大小で実は手間は変わらない

M&A

M&Aで500億円の案件と20億円の案件の手間は実は変わらない。もちろん、FAに払うFeeは違うし、人事DDなんて小さい規模の案件では外部を使えない等々の違いはあるものの、本質的には変わらない。 会計、法務はもちろん、ビジネスDDだって必要。社内説明も基本…

海外子会社によるM&Aを本社はどういうスタンスでやるべきか

M&A

business.bengo4.com 海外子会社によるM&Aについて、記事があったのでシェアします。この記事によると、海外子会社でM&Aをやる際、本社主導でやるパターンと現地に裁量を与えやらせるパターンと2つあるそうです。この記事では、日本企業は現地に裁量を与え…

不良資産があったときのValuation

たとえば、DDで在庫を調べたら、100億円在庫のうち20億円が不良在庫であったとき、Valuationにどう反映させるか。 まず、評価方法によります。純資産ベースでのValuationであれば、net worthから20億円を差し引くだけです。非常に簡単。 難しいのは、DCFです…

Terminal Value (TV)設定時の注意点② (CAPEXと減価償却を均等させる)

ご質問(CAPEXと減価償却を均等させるの意味)をいただいたので、新しいエントリーで回答します。 (前提) TVは最終年度のFree Cash Flow(FCF)÷(WACC▲成長率)であり、FCFの計算式は FCF=純利益+減価償却-CAPEX-運転資金増になります。この計算式を見ると…

UBERのカリーム買収

前回のデサントでM&AのEthic的なことに言及しましたが、もう一つ。UBERが中東でシェア争いしているカリームを$31Bで買収したという記事が出ていました。 UBERからすると、中東で高いシェアを持っている同業を買収し、同市場をDominateしたいということでし…

デサント

最近忙しく少し遅くなりましたが、伊藤忠さんのデサントのTOBが成立しましたね。ドンキの時と違い、今回は通常TOBの相場30%のところ、50%のプレミアムを払うとのことで、伊藤忠さんの気合が感じられますね。 少し思うのは、今回のTOBはわずか10%弱を買い…

ドンキTOB

ファミマが目指していたドンキのTOBが不成立になったとのこと。20%取得を目指したが、6600円の買い付け価格で売り手が少なく、わずか0.2%になったとのことです。 TOB発表前が5500円なので、20%のプレミアムを乗せた感じでしたが、TOB発表直後値段が跳…

ライザップ 事業別WACC

事業部毎にWACCを変えるというのがあります。セグメント毎に類似会社を選びwaccを設定する、この前の続きでライザップでいえば、健康事業と再生事業でWACCを分ける。ライザップの投資は赤字会社を安くかい、黒字化して儲けるという超ハイリスクな事業をやっ…

なぜ経営者はM&Aが好きなのか?

なぜ経営者はM&Aが好きなのか? 私の答えは3つ。 1.PLが増える 今の会計ルール上、買収し20%以上の出資をすると被買収先のPLが連結決算上くっついてきます。従い、買えば買うだけ見た目上は増収増益になるので、成長を演出できます。(もちろん、買収資…

M&A取引 入札と相対のメリット デメリット

M&A

会社を売るときに競わして値段をつりあげるというのが、会社を高く売る、コツなわけで、一方、買い手はいかに関係を築いて、相対に持ち込むというのが腕の見せ所になります。 ということで、売るなら入札というのが基本ですが、相対の良さもあります。以下の…

入札(オークション)の選定基準 その2

前回、入札では、価格と確実性が大事だと説明したが、それ以外の要素を説明する。 まず、買い手の素行。LOIレベルではいい価格を出しておいて、優先交渉権をとったら、手のひら返しして、買い叩いてくる会社もある。過去のトラックレコード・評判等で信頼で…

Seller's DD セラーズデューデリジェンス

M&A

通常、DDは書いてがやるものであるが、実はSellerが自ら株式を保有し経営してきた会社のDDを売却前に行うことがある。私が思うメリットは以下3つ。 1、Deal Killerの発見 売り出す前に自分が気がついてないDeal Killerを発見することができる。一旦オーク…

保険DD

M&A

これもマイナーなDDである保険DD。通常、保険会社に事業のリスクを理解してもらったうえで、あるべき保険内容(自動車製造ならPL保険等)を調べてもらい、かけもれがあればクロージング時に手配する。当然保険料は販管費増となるので、モデルの費用を見直し…

環境DD

M&A

自社で工場や倉庫を買収するときは環境DDを行う。法務、会計、ビジネスに比べるとマイナーなDDですが、3点注意点あり。 時間 通常環境DDは過去の行政指導、社内規程、実踏等で行う1次チェックを行い、何もでなければ、これで作業終了。もし怪しかったり何…

入札案件の流れ その4

今日は、5.Prefered bidder 、最終交渉、6.SPA締結、7.クロージング を説明します。2次Bidで最終価格とSPAのマークアップの札を入れると、ようやく1社に絞り込まれ、2週間ほどの独占交渉権を与えられ、SPA等最終交渉を行います。ここで、合意できればS…

入札案件の流れ その3

今日は、3.DD、4.2次BIDについて。 1次Bidを通過した数社にはData roomにて資料が開示されDDに入ります。その後マネジメントインタビューやサイトビジットの機会も通常得られます。買う側はいいですが、売り側は、数社のDDの相手をしなくてはいけないの…

入札案件の流れ

M&A

通常の買収案件の流れは以下のとおり。(買い手目線) 1.NDA&ティザー入手 2.1次BID 3.DD 4.2次BID 5.Prefered bidder 、最終交渉 6.SPA締結 7.クロージング 次回以降、1つ1つ説明します。

Gun Jumping

米国では、シェアが低い同士の合併であっても、クロージングの前から単一の企業体のように行動し、競争を阻害する行為を行った場合を禁止される。これをガンジャンピングという。日本語でいうフライング。 大きいDealならともかく、世の中の競争に影響がない…

海外のMerger filing

総合商社が、新規設立、買収に係わらず、広く世界で事業展開しているパートナーと合弁事業をやる場合、海外の競争法、特にEUと中国のFilingが必要となる場合がある。買収の担当者は、常にこのポイントを意識して、弁護士に独禁法の届出の要否を確認する必要…

Condition Precedentの特徴

Condition Precedent(前提条件)に入っているだけでは、その結果を達成する義務は発生しない。例えば、許認可取得が前提条件に入っている場合、Sellerがクロージングしたくなければ、許認可を取得せず、放置してもよい。もし、これを義務化したければ、Cove…

表明保証の注意点 M&A

表明保証に「買主が知っていたことについては表明保証を問えない」との文言が入ることがある。これは表明保証違反を買主が請求した時、売主が「DDしたんだから、しってたはずだろ」とごねるのに利用されるので、注意が必要。実際に表明保証違反を問えなかっ…

表明保証/知る限りと知り得る限りM&A

表明保証では、保証内容が知る限り(actual knowledge)と知り得る限り(constructive knowledge)があるが実はこの差は大きい。なぜなら、知る限りの場合、BuyerはSellerが知っていたことを証明しなくてはならないから。知り得る限りなら、役職に応じて知って…