ファイナンス
投資家のリターンは、配当とキャピタルゲインであるが、それぞれに税金がかかる。海外投資であれば、例えば、現地で源泉税、国内で所得税がかかったりするが、Valuationをする際は、あくまで対象会社のAvailabile cashベースであり、投資家が払う税金は考慮…
新興国のValuationをするとき、まず問題になるのが、どこのリスクフリーレート、つまりどの国債の数値を使うか。 結論としては、ドル国債を使い、WACCを算出した上で、インフレ調整(+カントリーリスクプレミアム)したうえで、現地j通貨建てのWACCを算出す…
前回、負債コストは、企業の借入コスト(表面利回り)を使うが、理論的には期待利回りを使うべしと説明した。ではどうやって期待利回りを出すか。やり方は2つある。 1つ目は、企業の倒産リスクと清算配当に前提を置き、倒産リスクを推定し、期待リターンを…
以前負債コストは、企業の借入コストから推定するのがPracticeであることを説明した。実務ではそれで全てであるが、今回は負債コストの理論をもう少し掘り下げたい。 CAPMで使用する負債コストは、実際は企業の借入コストではなく、投資家の期待利回りを使う…
DCFによる価値評価は、Cash flowと割引率からなる。事業計画の通りにCashを創出できないリスクをいかに反映させるかがポイントとなるが、原則、Cash Flowに感度分析をするなどして、そのリスクを反映させ、Cash Flowに反映できないものを、割引率を上げてバ…
対象マーケットがローカルではなく、海外市場がメインの会社を評価する際は、類似企業も同じくGlobalでビジネスを展開している企業を選定する。 例えばトヨタを評価する場合、日産や本田だけでなく、ルノー、ダイムラー、フォード等の企業も入れる。どの企業…
マルチプルによるValuation手法の一つ。Price book value ration。計算式は以下の通り。 株価/1株当たりの純資産(純資産÷株式数) 両辺に株式数をかける 時価総額÷純資産 上記式からも分かる通り、時価総額が会計上の純資産の何倍かを見る指標。Cash Flow…
総合商社の新入社員等、ファイアンスの初学者向けのお勧め書籍を紹介します。 1.道具としてのファイナンス 時間価値等のファイナンスの土台となる考え方を身につける本。最初の1冊。ファイナンスは直ぐに数字、数式の話になるが、「要するにこういうこと」…
答えは予想。なぜなら、投資家は予想を見て株を売買しているはずだから。もちろん。予想の確からしさの検証は必要。MBAの教授が実証実験でも予想ベースの方が正確というデータがあるといっていた。 一方、証券会社によっては、マルチプルを予想と実績の両方…
答えはEBITDA。なぜならPERは純利益をベースとしていることから、EBITDAと異なり利払い後の数字となる。よって、類似企業の資本構成は同じである必要があるが、現実的には同じでない為、数字の確からしさが低くなる。 また、PERの為、特別損失等の非営業損益…
前回のPERの理論的根拠とほとんど同じだが、EBITDA倍率(12倍)が何を意味するか。 EV=EBITDA×12倍 ・・・① ①の12倍を%に変換 8.3%=1÷12倍 EV=EV=EBITDA/8.3% ・・・・② FCFはEBITDAを税後にしたもの。税率30%と仮定してEBITDAをFCFに置き換える。 E…
PERの理論的根拠は以下の通り。 株式価値(MV)=純利益×PER(倍率)・・・① Terminal Value(TV)の計算式は、FCF÷(WACC△成長率)であるが、 MV=terminal Value(TV)、FCF=純利益と仮定すると、 MV(TV)=純利益(FCF)÷(WACC△成長率) となる。・・・② ②…
TVは最終年度のFree Cash Flow(FCF)÷(WACC▲成長率)。超基本となるが、TV算出に使用するFCFのベースとなる減価償却と設備投資を均衡させなければならない。 事業計画は、事業が安定する年度まで作成するのが基本。よって、事業が成長段階を終え、Capaxも基…
負債コストの推計(データ収集)は実務では以下の順序で行う。 1.対象会社の借入コスト(DDで調べる) ポイントは、以下の通り。 ・親会社がいても、その信用力に依存しないスタンドアローンベース。 ・負債コストの数字を取る時は、リスクフリーレートの年…
アンシステマチックリスクとは、ポートフォリオ、つまり資産を複数持つことにより軽減できるリスク。別の説明をすると、業界や事業内容に関係なく、対象会社の固有のリスク。例えば、不正会計等の不祥事、集団訴訟、敵対的買収をしかけられたとか、空前のヒ…
Valuationでは、対象会社のベータやマルチプルを類似企業の株価から推定する。では類似企業をどう選ぶか、選定基準が問題となる。 まず、選定基準を考えるに当たって、どの点で類似であるかを考える必要がある。ベータやマルチプルは、突き詰めると、期待収…
βはその企業の事業リスクだけでなく、その企業の財務上のリスクも表している。同じ事業をしていても、有利子負債が多ければその分株主へのリスクが高まりそれがβに反映される。よって事業リスクだけを見るには、有利子負債の影響を除く必要がある。 実務は、…
β(ベータ)を算出するのに使う類似企業は、数学的には数が多ければ多いほどよい。 マッキンゼーの「企業価値評価」を引用すると「有利子負債のない場合の業界βが同じ分布から算出されるなら、業界平均の標準偏差は、β分布の変動率を、データ数の平方根で割…
Valuationで類似企業のデータを取る時に平均値ではなく、中央値を取るのはなぜか?類似企業の中には、他社の数値のかけ離れた異常値があることはままあり(例:5社のβが0.6-0.8のレンジなのに、1社だけ1.5)、平均にしてしまうとデータがゆがむため、平均で…
対象株式を株式市場と比較してβを出す場合は、株式市場は何のデータを使うべきか。日本株式であればTopix、米国株式ではS&P500が一般的。一方、途上国の場合株式市場が未成熟であることから、そもそも類似企業が上場してなかったり、データ自体が揃ってなか…
一般に5-10年分作成すると言われるが、私の考えは事業の成長が安定するまでが正解となる。ご存知の通り、事業計画以降の数字はTerminal Valueでより価値を見込むがFCF/(WACC-成長率)で計算することから分かる通り、成長率の1つの数値である。つまり、…
Terminal Valueの計算には最終年度のFCFを(WACC▲成長率)で割って出すやり方と、EBITDAを類似事業者のEV/EBITDAマルチプルで乗じて出すやり方の2通りがある。因みに、Terminal Valueをマルチプルで算出する根拠はということ、数年後成長企業になったあとは…
「M&A取引の本質」「コントロールプレミアムとは何か?」の際に、買い手は買い手独自の事業計画を作成し、そこから生み出したシナジー等のCashを原資に売り手にプレミアムを払う説明をしたが、そもそもプレミアムは払わないといけないのだろうか? 答えはYES…
前にも紹介したとおり、リスクプレミアムのデータベースとしてNYUの有名教授であるDamodaran教授のデータベースが使える。(データ更新は半期に1度) http://pages.stern.nyu.edu/~adamodar/New_Home_Page/datafile/ctryprem.html 数字の見方を説明する。Dam…
市場の期待収益率とリスクフリーレートの差。(つまり、投資家にとって、株式市場は株価の変動があり国債よりもリスクが高いことからより高い利益を期待する。) 通常は、ibbotson社が提供するhistoricalデータを使用する(つまり、過去うん十年遡って各株式…
リスクフリーレートには国債を使うが、国債には通常1カ月ものから30年ものまであり、満期により利回りが異なる為、どの期間のものを選ぶかが問題となる。 理想としては、10年後のCash Flowを10年満期の国債といったように、各Cash Flowを満期が同じ国債で…
DCFのWACCの設定で使用するβ(ベータ)はエクセルを使って自分で計算もできるが、通常、ブルムバーグの端末で取得する。5年月次か2年週次の未修正βが一般的。特定の時期における変動の影響をミニマイズするという意味では5年がベターと考える。因みに、ブル…
まず資本コストは、次の算式によって求められる。「資本コスト=リスクフリーレート+ベータ×リスクプレミアム」 Β(ベータ)とは、株式市場が1%変化したときに、対象の株式のリターンが何%変化するかを表す係数。例えば、TOPIXのリターンがある期間に10%…
流動性の低い株式(つまり買い手があまりいない)は、株式売却が困難である為、安い値段で取引されることが多くなる。これを流動性ディスカウントといいます。 マルチプルにしろ、DCFにしろ、株式の売買が容易な上場株式のデータに基づく評価手法であること…
「コントロールプレミアムとは何か?」の回で、M&A取引において、買い手は自らの事業計画を作成して、そこから得られるシナジーをポケットに平均30%のプレミアムを上乗せして株式取得対価を支払うことを説明した。 これの意味するところを2つ。1つ目は、M&…