MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

商社のポートフォリオ

資産運用の本を読んでいたら、株式投資のリターンの70%はアセットアロケーション、つまりどこにお金をはるかであり、我々が日々血眼になっている、いつ売り時か、安い時に仕込むというのは、実はそこまでリターンに聞かないらしい。 その考えていくと、総…

best owner

久しぶりの更新で大変失礼しました。今年ボチボチ更新しようと思います。 投資会社が投資ポートフォリオのEXITする考え方でBest Ownerというのがあります。つまり、投資先にとって、自社がベストな株主かで継続保有するかどうかを考えるということです。たと…

マルチプルの分析

前回、Transactionマルチプルの説明をしました。これはライバル企業のA社はB社に昨年EBITDA10倍で 買収されたので、我々が今買おうとしている会社もEBITDA10倍で評価しようというものです。もし、ターゲットとA社が類似企業であるとすると、市場の目線の参考…

類似取引 EBITDAマルチプル

EBITDAマルチプルにもTradingマルチプルとTransactionマルチプルがあります。Tradingマルチプルは類似の上場企業の株価から算出したマルチプル、Transactionマルチプルは過去数年の類似業者のM&Aの取引事例です。(ライバル企業のA社は昨年10倍で買収された)…

EBITDAマルチプルの種類

前回、EBITDAマルチプルは、EVを直近決算のEBITDAで割るのか、翌期の予想で割るのかで当然数値が異なるという話をしました。投資銀行の実務では、実績と予想の両方を使い、レンジで出すということをやっていたりもしますが、本来的には、予想のEBITDAがより…

マルチプル

なんか、ばたばたしていて久しぶりの更新になります。失礼しました。Dealをやる中で、Multipleについて自分なりに理解が深まったことがあるので、何回かにわけてシェアさせていただきたいと思います。 まず、EBITDAマルチプルの定義です。よく、社内で会話す…

マーケットリスクプレミアム ご質問

いつも、ネタがなくても困っているところ、ありがたいことにご質問をいただきましたので、以下回答します。 (質問) 2016年9月7日のブログで(ちょっと古いですが)、「先進国 の株式市場のリスクプレミアムは大体5-7%程度(私の感覚)。 」とありました。…

M&Aの仕事を20年近くやってみて

商社に入り、M&Aの仕事を20年近くやってきた。国内、海外、買収、売却、TOB、インフラ系と様々なDealを手がけて来たが、その数30ぐらいになるだろうか。M&Aの仕事をしてみて思うところを少し書いてみようと思う。 まず、やってよかったと思うのは、外で売…

総合商社の隠れた強み

私は総合商社の隠れた強みとして国際税務があると考えている。 M&Aにおいて、税務は物凄いインパクトがある。軽く数億、スキームによっては数十億円、数百億円の違いがでてくる。 各国税務に精通することはもちろん、租税条約まで出てくると、内容複雑怪奇…

ノンコアアセットの売るタイミング

ノンコアセットを売るべきタイミングについて、同僚と議論したので、その話。 その会社は今は業績が低迷しているが、向こう3-5年で業績が持ち直す可能性が高いとみているとのこと。一方、ノンコアなので、できれば早く現金化したいが、立て直してからの方が…

ESG

レジ袋有料化は「エコ」じゃない…製造会社の涙の訴えと"死んだウミガメ"の真相 レジ袋有料化は「エコ」じゃない…製造会社の涙の訴えと"死んだウミガメ"の真相 海を漂うプラゴミのわずか0.3% | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) この記事を読んで、そ…

選択と集中

総合商社の決算が出ましたね。一部、減損があるものの、このコロナ下でも総じて各社黒字決算になっています。 金属、エネルギー、資源、自動車が大きく落ち込む一方、生活、インフラ等が堅調に推移し、全社業績を支えています。因みに同じ資源でも石炭は低迷…

M&Aにおける独占交渉権

M&Aでは特定の買い手に独占交渉権を与えることがある。 これは買い手にとってのメリットとなる。M&Aの場合、買い手は膨大な時間とコストをかけてDDを行うわけで、散々調査し、社内承認も取った挙句他社に持っていかれる事態はできればさけたいわけで、そのた…

D&Iの良記事

うちの会社もD&Iを進めていて、マネジメント層からいろんなメッセージが発信されるが、「これからの時代、D&Iが必要、でないと生き残れない」という説明が多くて、なんかしっくり、なんだかなーと思っていたところ、以下の記事は非常に腹落ちし、説明を聞い…

働き方

リモートでほとんどのことはできるけど、対面でないとできないこともやっぱりたくさんあるよね。前から言っているとおり、オフィスもリモートもPros Consがあり、二者択一ではないのは明らか。いいとこどりできる企業がこれから生き残るのでしょう。 ビジネ…

PEファンドのEXIT

ダイヤモンドにJIPのオリンパスのカメラ事業のカーブアウト案件が紹介されてましたね。 https://diamond.jp/articles/-/241721 記事にある通り本買収額は、事業のターンアラウンドというよりは、EXITの絵をどう描くかという 点が大事です。 私は日頃からファ…

日銀のETF購入

日経の記事を見ていたら、日銀のEFT購入を通じた間接保有の出資比率がユニクロ20%、ファミマ18%とか、あらためて見ると、結構すごい割合になっているんですね。 もちろん、ガバナンスの問題はさておき、需要が日銀に支えられているのを見ると、官製相場と…

M&A 高値掴み

M&A 高値掴み M&Aにおいて、「あの買収は高値掴みだ」と言われるが、これはどういうことだろう。 一般には、買収において、シナジーを見越して、プレミアムを払ったものの、実際にやってみたら、シナジーが創出されず、プレミアム分、損したというもの。つ…

今年のMBA入学

MBA

WSJに以下の記事が出てました。例年合格すると84%は入学するのに、今年は59%だそうです。 What Will Business School Look Like in the Fall? - WSJ たしかに、世界から集まる学生と濃い2年を過ごすのがMBAの醍醐味であり、自宅にこもってオンラインだと、…

M&A「やっぱやめた」の記事

先日、このコロナ下で、M&Aを実行するかについて、このブログで取り上げましたが、 M&AにおけるブレークアップフィーとアサヒのABインベブ買収について - MBA x 総合商社道場 日経ビジネスで以下の記事が出ていました。要は、欧米企業は契約をしてても、ブレ…

PBR1倍割れの株式について 3

PBR最終回の今回は、ではなぜ商社の株式はPBR1倍割れているか。 本日の株価を見ると伊藤忠以外の5大商社はPBR1倍を切ってます。 そもそも今の商社は、投資会社なので、保有している株式の価値で時価総額も収れんするはず。もちろん、昔買った含み益のある資…

PBR1倍割れの株式について 2

前回の続きでPBRの限界について少し補足をしようと思います。 よく本にPBRというのは、清算価値だから、ある意味フロアーになると書いています。 しかしながら、我々の実感でもわかる通り、保有資産を売却しようとしても、簿価で売れることなんてめったにな…

PBR1倍割れの株式について 1

最近、意味不明に株価が上昇してますね。長期で見れば、DCF等で評価した株価に収束していくんでしょうが、短期の株の動きは、私にはさっぱり理解できません。 さて、ニュースを見ていると、商社株を始め、PBR1倍割れの株の記事をよく見たりします。また、株…

前田道路 社長交代

少し出遅れましたが、このブログでずっと追いかけていた前田道路のTOBですが、社長が交代を発表してましたね。 https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS07720/94ab1234/22c7/4884/99d5/125f6e629720/140120200514413938.pdf TOBが成立。TOBに反骨精神む…

M&AにおけるブレークアップフィーとアサヒのABインベブ買収について

M&A取引では、当事者のどちらか一方が、交渉からドロップする際に、補償として一定金額を払うことがあります。これをbreak up feeと言います。LOIとSPAに分けて考えます。 まず、LOIについて。LOIは一般的に法的拘束力はなく、LOI締結後DDに入り、交渉。妥結…

商社とリモートワーク

コロナですっかりリモートワークが定着しつつありますが、Afterコロナを考えたとき、総合商社でリモートワークをどう活用していくかを少し考えます。 まず、私がリモートワークをやったみた実感として、以下の感想があり、トータル圧倒的にいい。 ・通勤がな…

書評:コンサル一年目が学ぶこと

会社にあったので、読みました。”コンサル”と書いてますが、コンサルに限らず、総合商社はもちろん、どの業界にでも使える、普遍的なTIPSが書かれています。私が普段感じる仕事ができる人の特徴、仕事術が書かれており、新人から若手にお勧めです。是非、読…

昔の商社マン

今日はナレッジというより、思い出話。 私が総合商社に入社したのは早20数年前。その頃は、まだまだトレード全盛で、且つ、今とことなり超ブラック企業で、12時まで仕事して、そこから飲みに行ったりしてました。 とにかく、拘束時間が長ったですね。人間力…

まずやることを決め、走りながら考える

スピードの時代、まずは初めて、走りながら考えるのが求められるのは頭では分かっていたが、最近改めてそう感じるエピソード。 今、アメリカの学校では、コロナで通学ができないので、ZOOMやgoogle class roomを使ったEラーニングを使い、カリキュラム通り進…

コーポレートガバナンスの良記事

以下の記事を見つけましたので、シェアします。アスクルモデル等非常に勉強になります。 コーポレートガバナンス最大の機能:取締役会と役員選解任のあり方と事例について | Signifiant Style これを見てて思うのは、社外取締役を会社が選ぶ構図がやっぱり歪…