MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

M&A案件の規模と手間 案件の大小で実は手間は変わらない

M&Aで500億円の案件と20億円の案件の手間は実は変わらない。もちろん、FAに払うFeeは違うし、人事DDなんて小さい規模の案件では外部を使えない等々の違いはあるものの、本質的には変わらない。

会計、法務はもちろん、ビジネスDDだって必要。社内説明も基本は同じ。 コンプラ問題が買った後からでてくれば、世間からたたかれるのも全く同じ。SPAだって、真面目に見て、交渉しないといけません。

ということで、M&Aは小さい案件も手を抜けるわけではないので、やはり、人件費に見合う、大きい案件を選ぶというのが大事になってきます。

もちろん、小さい案件で若手に経験させるというのはありかもしれませんが。

 

 

孫さんSVFの2号ファンド

孫さんのSVFの2号ファンドの記事がでてました。ファンドサイズは12兆円と前回の倍。流石に、UBER、Wework等大型の案件がそこまでもうないのではと思うものの、1号ファンドの6兆円を2年で使い切った、つまり1年で3兆円投資したというので、そのスピード感と規模は流石ですね。

商社の年間の投資額は各社0.5-1兆円程度なので、国内では”巨大”でも総合商社は規模は世界レベルでは、全然top tierではないですね。

商社の場合1000億円規模の投資だと、出せなくはないですが、乾坤一擲の意味がどうしてもでてきますが、毎年数兆出せるSVFや時価総額は50兆円とかあるGAFAはポンポンだせてしまいますね。

まぁ、ニッチプレーヤーで生きていくしかないですね。

 

 

海外子会社によるM&Aを本社はどういうスタンスでやるべきか

business.bengo4.com

海外子会社によるM&Aについて、記事があったのでシェアします。この記事によると、海外子会社でM&Aをやる際、本社主導でやるパターンと現地に裁量を与えやらせるパターンと2つあるそうです。この記事では、日本企業は現地に裁量を与えるパターンが多いとのことです。

私の意見では、当然、本社でグリップを利かせてやるしかないというのが結論。理由は、記事にもあるとおり、失敗したときに、本社の取締役の善管注意義務違反が問われるから。

もう一つは、記事ではアメとムチでガバナンスを利かせるのが大事とありますが、私はこれはワークしないと思います。なぜなら、M&Aは結果が分かるまでにそれなりに時間がかかるものであり(通常、1-2年で減損までいかない)、一方、子会社の経営陣は、M&Aにより業務範囲が広がった、Payを上げろとなります。従って、たとえば、1-5年は給料アップ、減損が出るころには辞めているということもありうるわけです。

結論としては、しっかり本社でやりたい、やれる案件かを見極めないといけません。

 

 

書評 未来に先回りする思考法

 

遅ればせながら、佐藤 航陽さん「未来に先回りする思考法」を読みました。特に第4章が面白かったです。面白かったポイントは以下の通り。

 

・本当に大きい成果をあげたいのであれば、真っ先にかんがえないといけないのは、「今の自分が進んでいる道はそもそも本当にすすむべき道なのか」です。

 ・テクノロジーを知るのは4段階「使える、ポテンシャルが分かる、なぜできたのか原理から理解している、実際の作り方が分かる」あるが、第三段階まで理解するのが重要。つまり、そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたか。

ロジカルシンキングはすべての情報をえることができない「情報の壁」と、意思決定者が持つ「リテラシーの壁」という二つの障壁が存在する。問題は、その二つの壁を認識しないままに、自分たちに認識できる現実の範囲を「全体像」ととらえてしまうことです。

・それまで自分の認識をもとに論理的に意思決定を行っていました。しかし、そもそも自分の認識はそんなに信用できるものなのか。

私たちにできるのは目の前にある手もちの材料を混ぜ合わせて、自分も周囲も納得できるような「その場しのぎの合理性」をつくることだけです。

・本当の意味で合理的な判断がしたいならば、非合理的なものを許容しないといけません。将来的に新しい情報が得られるだろうことを考慮に入れたうえで、一定の論理的な矛盾や深く自省をあえて許容しながら意思決定を行うこと。

・大きなリターンを出すためには、適切な時に適切な場所にいることが重要です。

 

デューデリジェンスで不良資産があったときのValuation

たとえば、DDで在庫を調べたら、100億円在庫のうち20億円が不良在庫であったとき、Valuationにどう反映させるか。

まず、評価方法によります。純資産ベースでのValuationであれば、net worthから20億円を差し引くだけです。非常に簡単。

難しいのは、DCFです。DCFは事業から生み出すCash flowをベースに株式価値をだすものなので、不良金額を純資産ベースの価値評価のようにそのまま減額すればいいものではありません。 (本で見たわけではないのでもしかしたら間違っているかもしれませんが) 一定額の在庫処分損を事業計画に入れて、毎期生み出すCashから当該損を引くことでValuationを下げるということになると思います。 不良在庫があるということは、この事業は毎期一定の在庫損がでる事業と考えられ、その損を営業利益から正しくひく必要があります。ではいくらひくかは不良在庫の中身をみて、どれくらいのスパンでどれぐらいの損が出ているかを見たうえで見積もるしかありません。

もっとも、DCFベースの減額がたとえば5億円ぐらいにしかならなかったら、Sellerがアホなのを信じて、20億円の減額を要求するもの手です。純資産とごっちゃになっている人は素直におうじてきたりします。

 

Mckinseyのメルマガ 商社の若手必読

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商社の人材

最近、バタバタしていて久しぶりのアップになりました。

商社は長らく人材輩出企業であるし、自分が就活していたときも、経営者というキーワードがあったと思う。

しかし、トレードから事業投資、且つその事業投資も海外が主戦場になった今、商社のキャリアも変わってきているのかなと思ったりしてます。

というのは、トレード時代は商社マン一人ひとりが個人商店だったし、昔の事業投資は国内のグリーンフィールド案件や、海外でも日系企業向けの販社だったりで、日本人でも十分社長をやっていたわけです。

しかし、昨今のビジネストレンドは、海外の大型投資が主戦場になっており、こうなると、日本人である商社マンが社長をやるというのは、外人、語学、文化等の理解から現実的には相当厳しくなっており、実際の仕事は現地のプロ経営者と日々向き合う株主の役割が多くなります。もちろん、現場に入り込んでオペレーションを回す等の役割がなくなったわけではありませんが、確実に役割が変わりつつあるなーという実感がします。

では、株主に徹してPEみたいになればいいかというと、商社独自の強みを出すには、やはりトレードもやり業界、商品に精通する人材、いざというときに自ら経営に乗り込む人材、そして投資家といろんな帽子をかぶる必要があるのです。逆の言い方をすると、多くても数十人のPEとは異なり、数千人の終身雇用の従業員を抱える商社はそのビジネスモデルはできません。ということで商社の人材戦略は、向こう数年は手探りにならざるを得ないかもしれません。