MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

peと商社の違い その5

第5回は資金調達。違いは以下の通り。

 

PE:プロファイ
商社:コーポレートファイナンス

 

既に説明の通り、PEの投資は、プロファイによりレバレッジを高めるのが大原則。


一方、商社はインフラ等ではプロファイを使うことはあるものの、コーポレートファイナンスが基本となる。

プロファイは資金効率がいいものの、レンダーから様々な制約が課され、経営の自由度がない。その点、商社の場合は、レンダーからあれこれ言われることがなく、自由度は高い。

但し、これも善し悪しあって、よく商社の子会社は、資金を親会社保証で銀行からバンバンひっぱれるので、緊張感がないとか言われる。

何事もPros Consありますね。

peと商社の違い その4

第4回は成功要因。違いは以下の通り。

 

PE:経験豊かな経営陣
商社:シナジー

 

PEは、事業ノウハウ、シナジーがない以上、基本的には経営をしっかりやることで事業価値を上げる。私は常々、PEはガバナンス屋だと思っていて、経験豊富な経営陣をトップに据えて、会社としてPDCA
をきちんと回すことで経営の効率化をしていき、EVを向上させる。それができなければ、経営者を変える。

 

一方、商社は、既存ビジネスとのシナジーでValue Creationを行う。もちろん、Green fieldの案件では、投資のタイミングだったりも重要になる。

peと商社の違い その3

第三回は投資対象 。違いは以下の通り 

 

PE:安定した成熟企業
商社:必ずしも安定してなくてもいいスタートアップも可

 

PEは、基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、レンダーからCFの固さを要求される。従い、投資対象はCFが安定した成熟企業に限定される。

 

一方、商社は基本は親会社保証のコーポレートファイナンスなので、CFの固さは必要がない。よって、自らベンチャー的な企業を立ち上げることもある。

peと商社の違い その2 事業領域

第2回は、事業領域。違いは以下の通り。

 

PE:幅広い
商社:幅広いが、各BLのビジネスに関連するもの

 

PEは、其々得意分野はあるものの(小売業に強いファンド等)、基本的には専門性は金融であり、業種は問わない。

 

一方、商社も総合なので、会社自体の事業領域は広いが、基本的にはシナジーによるvalue creationがないといけないので、各Business Lineと関連する事業でなければならない。

peと商社の違い その1 リターンの源泉

今回から、全17回にわたり、PEと商社の何が違うについて考察したい。私見も多分にはいりますが。

 

第1回は、リターンの源泉。違いは以下の通り。

PE :レバレッジ、EVの向上
商社:企業成長、EVの向上

 

PE投資は基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、PEのリターン源泉はレバレッジと、シナジーやコストカットによるEVの向上となる。因みに、一般にPEのリターンの源泉の半分はレバレッジ効果と言われている。

 

一方、商社の場合、ノンリコースローンをひっぱらないので、投資対象はPEのようにCFの安定した企業に限らず、early stageの案件にも投資する。従い、シナジー等によるEVの向上だけでなく、企業成長もリターンの源泉となる。

deed

英文契約を見ているとagreement/contractの他にDeedというものがある。

英文契約では約因(Consideration)といわれれる、契約上の対価がないと契約は強制力がない。約因の例としては、たとえば、売主:商品を引き渡す、買主:お金を支払う。

Deepはこの例外であり、約因がなくとも強制力を持つ。但し、効力を持つには、書面、Seal、交付の3つの要件を持たすことが必要。

東芝半導体

4/5の日経の記事「東芝半導体 日本応札ゼロ」はショックですね。はやり2-3兆円という金額にみんなhesitateしてしまったのだろうか。

 

時価総額が70兆円を超えるアップル他海外勢に対して、4兆円程度のソニーを初めとした日本勢では対抗できないということでしょう。

 

日本の場合、PEの規模も小さいですし、半導体ビジネスは技術のカタマリで商社も手を出しづらい、結局リスクマネーの提供者がいないという現状を一人の日本国民として傍観するしかないというのはさびしいですね。。