MBA x 総合商社道場

MBAと総合商社の事業投資をメインの話題にしたブログです。

peと商社の違い その3

第三回は投資対象 。違いは以下の通り 

 

PE:安定した成熟企業
商社:必ずしも安定してなくてもいいスタートアップも可

 

PEは、基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、レンダーからCFの固さを要求される。従い、投資対象はCFが安定した成熟企業に限定される。

 

一方、商社は基本は親会社保証のコーポレートファイナンスなので、CFの固さは必要がない。よって、自らベンチャー的な企業を立ち上げることもある。

peと商社の違い その2 事業領域

第2回は、事業領域。違いは以下の通り。

 

PE:幅広い
商社:幅広いが、各BLのビジネスに関連するもの

 

PEは、其々得意分野はあるものの(小売業に強いファンド等)、基本的には専門性は金融であり、業種は問わない。

 

一方、商社も総合なので、会社自体の事業領域は広いが、基本的にはシナジーによるvalue creationがないといけないので、各Business Lineと関連する事業でなければならない。

peと商社の違い その1 リターンの源泉

今回から、全17回にわたり、PEと商社の何が違うについて考察したい。私見も多分にはいりますが。

 

第1回は、リターンの源泉。違いは以下の通り。

PE :レバレッジ、EVの向上
商社:企業成長、EVの向上

 

PE投資は基本的にレバレッジバイアウトでノンリコースローンを引っ張る為、PEのリターン源泉はレバレッジと、シナジーやコストカットによるEVの向上となる。因みに、一般にPEのリターンの源泉の半分はレバレッジ効果と言われている。

 

一方、商社の場合、ノンリコースローンをひっぱらないので、投資対象はPEのようにCFの安定した企業に限らず、early stageの案件にも投資する。従い、シナジー等によるEVの向上だけでなく、企業成長もリターンの源泉となる。

deed

英文契約を見ているとagreement/contractの他にDeedというものがある。

英文契約では約因(Consideration)といわれれる、契約上の対価がないと契約は強制力がない。約因の例としては、たとえば、売主:商品を引き渡す、買主:お金を支払う。

Deepはこの例外であり、約因がなくとも強制力を持つ。但し、効力を持つには、書面、Seal、交付の3つの要件を持たすことが必要。

東芝半導体

4/5の日経の記事「東芝半導体 日本応札ゼロ」はショックですね。はやり2-3兆円という金額にみんなhesitateしてしまったのだろうか。

 

時価総額が70兆円を超えるアップル他海外勢に対して、4兆円程度のソニーを初めとした日本勢では対抗できないということでしょう。

 

日本の場合、PEの規模も小さいですし、半導体ビジネスは技術のカタマリで商社も手を出しづらい、結局リスクマネーの提供者がいないという現状を一人の日本国民として傍観するしかないというのはさびしいですね。。

サイズリスクプレミアム

インフラや資源投資はアセットビジネスであり、ポートフォリオ(複数アセット)ではなく単一アセットを取得することが多い。Valuationをする際、上場の類似会社のベータをもってWACCを推定するわけであるが、これら類似会社は複数アセットを持っており、分散効果が働く一方、単一アセットは分散効果が効かない。よってサイズプレミアムを乗せるという議論になる。

 

もっとも、ポートフォリオは玉石混交であるが、単一アセットであれば、DDできっちりみれば、リスクは見極められるわけで、機械的にプレミアムを乗せるのはよくないかなと思います。

 

また、プレミアムをいくら乗せるかという問題もあり、あまり統計的な根拠もとれず、実務では1-3%を適当に乗せることも多いので、若干いい加減な側面があります。

商社の社会貢献

よく商社志望の学生が、たとえば途上国のインフラ整備をして、社会貢献をしたいという思いを持って入社してきたりする。

その志自体は素晴らしいのだが、商社のビジネスはボランティアでないことは忘れてはいけない。つまり、適正な利益を取るということ。

 

たとえば、アフリカへの投資ともなれば、狙う利回りは20%を超えることもある。貧しい国からそんな暴利をむさぼってもという気持ちにならなくも
ないが、リスクに見合ったリターンを取るのが商売のいろは。ソブリン(国)リスクに基づく、利益を得なければ、sustainableなビジネスとはいえない。

 

もっとも視点を途上国に変えれば、そもそもリスクマネーを供与してくれる自体ありがたい話であるはず。また、例えば、発電プロジェクトであれば、
GEやシーメンスのメーカー、銀行のプロファイ、建設等をアレンジして、巨額のプロジェクトをまとめ上げるという商社なれではの機能があってこそ
インフラ整備ができる。

 

このような機能提供こそが、商社の社会貢献と言えるだろう。